「栄光への脱出」という映画があった。いまから60年以上も前に公開された。多くのユダヤ人がイスラエルに帰り、国づくりに励むといった内容。勇壮なテーマ曲もヒットした。わたしは当時中学生だった。
イスラエルの建国などを調べた。中学生としてはそこそこの歴史知識を身につけたと思う。イスラエル寄りの映画だから、当然イスラエル贔屓になった。以後、隣国からのテロにもめげず確固たる国をつくったと考えていた。
が、国づくりは侵略でもあった。第一次大戦当時、イギリスは金持ちユダヤ人の資金目当てでイスラエル建国を約束するとともに、先住民であるアラブ人には独立(当時はオスマントルコの支配下にあった)を約束した。二股膏薬である。イスラエルへの入植者は増え、アラブ(パレスチナ)との衝突が激化した。第二次大戦後、国連は、6%程度の領土しかなかったイスラエルに半分以上の土地を与えることを承認した。これで、両国の妥協がなりたてば問題はなかったが、そうはいかない。
パレスチナはゲリラ的にテロ攻撃をしたが、軍事大国をめざすイスラエルには太刀打ちできなかった。イスラエルはさらに軍事力を高め、パレスチナに侵略し、領土を広げていった、というのが現在までの経過である。
ハマス(パレスチナの軍事組織)がロケット弾を撃ち込めば、イスラエル軍はたちまち反撃する。死者で比較すると、当初は倍返しぐらいすると休戦協定ができた。その後は、死者の比率は倍返しどころか、10倍20倍となり、前回のいざこざでは25倍ぐらいで休戦となった。
今回、イスラエル側は1200人か1300人ぐらいの戦死者を出した。たくさんの被害で、この分だとパレスチナ側に2万人ぐらいの犠牲がでると思っていたら、イスラエルの攻撃は止まず、現在まで3万人を超す犠牲者を出している。女も子供も多く亡くなっている。いい加減にせよとイスラエルに言いたいが、声は届かない。
俺たちはナチのホロコーストでやられた、だからこの程度のことは許されると考えているのだろうか。
かつて「グローイングアップ」という映画があった。青春コメディである。「ミスターロンリー」などのオールデイズが流れていた。カルフォルニアあたりを舞台にしたアメリカ映画とおもったら、これがイスラエル映画なのだ。ほとんどイスラエルを連想できないコメディだった。違うと言えば、徴兵制の話題が出てきたことぐらいか。そんなことを憶えている。今のイスラエルではこんな映画は創れないだろう。
ついでのひとこと
人生で大切なこともそうでないことも、ボクは映画で学んだ。