桂文珍独演会に行ってきた。新百合ヶ丘では毎年やっている。今年で18回目になるという。ながく続いているわけで。来年も1月にやるというチラシを渡された。
弟子の桂楽珍が開口一番を務めた。座布団返しもやる。若くはない。貫禄十分。63歳だそうだ。
文珍師匠の今回の演目。
ぴ~
富久
七度狐
「ぴ~」は、不都合な発言を消すあの音のこと。ギャグをつなぎ合わせた小噺アラカルトであって、ストーリーはない。こういうギャグは文珍の得意とするところである。
「富久」はおなじみの古典噺。最近やるようになったそうだ。
トリネタは「七度狐」。上方の噺で、関東ではそれほど聴く機会はない。以前、テレビの落語番組で聴いたことがある。ライブでは初めて。
二人連れの旅人が茶屋で失敬した木の芽和えの鉢を草むらに放り投げると、鉢はそこに寝ていた狐の頭にあたってしまう。狐は怒って仕返しをする。旅人を化かすという噺である。一回やられたら七度化かすという執念深い狐で、旅人は散々な目に遭うことになる。
この噺には三味線、太鼓といった鳴り物が入る。それがふつうらしい。にぎやかな高座になるわけで、大看板にふさわしい演目と言える。
ということで、愉快なひとときとなった。客席はほとんど後期高齢者だった。女性が多い。
老婆はいつも休みである。老婆の休日。