新明解国語辞典第七版が、今日、発売された
新明解国語辞典にはずいぶんお世話になった。ユニークな語釈や用例のお陰で、原稿執筆の材料やヒントを得ることができた。
その第七版が発売された。七年ぶりの改訂である。さっそく手に入れた。
どのくらい変わったか、あるいは変わらなかった、パラパラとめくりながら、新明解の海を泳いでみた。
この辞書が世にでたのは、1972年(実際はその前年)である。当時は岩波を使っていたので、この辞書には関心がなかった。実際に手にしたのは、第二版(1974年)がでたあとである。見坊豪紀さんとお会いしたことがきっかけである。
見坊さんどういう人かといった説明は省くが、現代的な小型の国語辞典を日本で初めて作った人である。戦前にでた『明解国語辞典』に実質的な著者(執筆者は金田一京助となっているが、いわば監修者であり、一行も執筆はしていない)である。現在あるさまざまな小型の国語辞典の原型がこの辞書である。そこから、三省堂では『新明解国語辞典』と『三省堂国語辞典』が作られていく。前者は山田忠雄が主幹となり、後者は見坊豪紀がそのまま主幹となった。
見坊さんから伺ったことを一言でいうと「国語辞典はことばを正す鑑(カガミ)であるとともに、ことばを写す鏡である」となる。つまり、お手本としての側面と、現在の言語生活の実態(変化とか乱れ)という側面をもっているということである。
といったことは、いずれ詳しく書きたい。
新明解の第七版。パンフレットには、新たに「就活」「食育」「スマートフォン」「ツイッタ―」「電子黒板」「真逆」などを追加し、第6版の65000語から77500語、およそ1000語増やした、と書かれている。ちょっと引っかかった。増やしたら、一方で死語として削ったことばがあるはずだが、それがないということか。
売りは「シャープな語釈」であるが、山田主幹の死後、シャープさは減じたと感じているのだが、それはどうなったか。
などなど、あるのだが、どう改訂されたのか知りたい。ぱらぱらとめくり始めたところである。次回から、この辞書の初版からの変化を中心に紹介していく。
オッ楽しみにー
とりあえずひとこと
きょうの日経新聞広告に第七版の広告載っていた。そのユニークな語釈として「公約」を紹介している。その一部。補足説明に「実行に必要な裏付けを伴わないことも多い」とある。
第六版までは「実行を伴わないことも多い」。すこし変えた。
山田主幹は役人嫌いであった。政治家や役人に対する辛らつな用例が多い。
朝日新聞を見てみると、こちらは全面広告である。「公約」「政界」「善処」以下20語の語釈が並んでいる。辞書の広告としては壮観である。
つぶやきのひとこと
しかし、それにしても、新明解を書くとなると、初版から全部、机に並べておかねばならない。広い机がほしい。
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第六版の65000語、ではなく、76500語では?
投稿: ウェーブ | 2013年12月 6日 (金) 02時02分
ご指摘、ありがとうございます。第六版の項目は76500ですね。第七版は77600です。
投稿: 放心 | 2013年12月 6日 (金) 20時10分
そうですよね。77500語ですよね。
投稿: ウェーブ | 2013年12月 8日 (日) 22時30分