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2012年2月16日 (木)

 北海道警の不祥事は続く

 

 数日前、北海道警の巡査長がわいせつ罪で逮捕された。SMクラブを捜索したところ、緊縛、全裸状態の男がいた。取り調べたら道警の人間だったというわけだ。なんとまあ、間が悪いというか、ドジな男である。微罪だけど免職は免れないだろうな。

 道警といえば十年ほど前の不祥事を思い出す。捜査協力費をごまかして裏金を作り、幹部の餞別費用としてプールしていたという話である。拳銃の不法所持で逮捕された警官もいた。このあたりは佐々木譲が道警シリーズでフィクションとして描いている。フィクションだけど、描かれる背景は事実をもとにしている。

昨年、拳銃不法所持で逮捕された警官の手記が出版された。佐々木譲の道警シリーズのファンとして読んでみた。『恥さらし』(稲葉圭昭著 講談社)である。「北海道警 悪徳刑事の告白」と副題にあるように、道警を揺るがせた裏金事件を背景に、銃刀法違反の罪で有罪(懲役9年。昨年、刑期満了で出所した) となった元警部の告白である。

 先に述べたように、捜査に協力してくれた人に御礼金を出すことになっているが、道警では実際には出さず、にせ領収書をつくり幹部への餞別費用にプールしていた。セコイなあ、餞別ぐらい自腹を切れよといいたいが、それはさておき、実動部隊には捜査協力金が潤沢に回らないことになる。刑事は捜査に自腹を切ることになる。

 著者は何人ものエス(暴力団関係等の情報を教えてくれる協力者。いわばスパイ)を抱えていた。情報以外に、拳銃を提供してもらったりした。暴力団員に「組を抜けました。拳銃をコインロッカーに入れました」と警察に電話させ、拳銃を見つけさせるといった手口である。やらせである。これが拳銃摘発の実績として評価される。拳銃と共に自首すれば罪に問われないという「自首減免規定」もあって、拳銃摘発はすすんだ。全国でもトップレベルの摘発件数であった。しかしそれが本末転倒であることは言うまでもない。本来、暴力団対策が目的だが、それはどこかにいってしまうというのが道警の実態だった。

 拳銃一丁の値段はおよそ40万円。暴力団員にその費用を払うが、これは刑事の自腹になる。それを埋めるために、覚せい剤捜査の手を緩めるとか、自ら覚せい剤取引に関与していき、ついには自らも覚せい剤を使用することになった。

 

ここに描かれるのは、違法なおとり捜査の実態、捜査令状なしの強制捜査などであり、こうしたことが組織ぐるみで行われていたことを告白する。拳銃を一丁でも押収したい銃対課のノルマ主義が、結果として、覚せい剤や麻薬取引に組織ぐるみで協力、あるいは黙認することになったという恐るべき実態も紹介されている。道警は組織ぐるみではないと主張しているが、そうではあるまい。

 

佐々木譲の『笑う警官』以下「北海道警シリーズ」は、フィクションと思っていたのだが、その背景となる道警の様子が『恥さらし』とぴったり重なるのだ。えっ、そうなの、事実だったのと驚かされる。道警の当時の実態をきちんと把握したうえで描かれていることがわかった。

 

それにしてもなあ、緊縛全裸警官。ドジだなあ。警察の実態ってこんなものかとも思うが、身内の不祥事を隠さなかっただけでも道警は改善されたんだと好意的に解釈しよう。

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