マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
マーガレット・サッチャーはまだ存命である。まだ存命とは失礼な言い方になるけれど、政界から引退してずいぶん経ったので、そんな言い回しとなってしまう。いまは認知症を患っている。
この映画は認知症の現在から過去を振り返ったものだが、単なる振り返りの伝記ではない。現在、幻想(すでに死亡した最愛の夫が幻想として現れる)、そして過去の出来事が繰り返し映像として映し出される。
IRAとの対立があった。フォークランド紛争あった。人頭税問題もあった。そうした政治の世界をまさに鉄の女として生き抜いてきた。強い女であった。こういう映画にはありがちの、その反面、優しく繊細な女だったという描き方はしていない。もちろん家庭的な部分もあったが、鉄の部分を前面に押し出している。センチメンタリズムに陥ってはいない。
それにしてもサッチャー役のメリル・ストリープはすごい。適役である。サッチャーの声は忘れてしまっていたが、こんなような声だったような気がする。すこしくぐもっていた。メイクアップより、声までそれらしく似せているのに感心した。
映画は、現在、幻想、過去の繰り返しだから、物語としての起承転結は希薄である。その点がいいか悪いかは評価が分かれるところだろうが、これでよかったんじゃないかなと思う。
文句をひとつ。サブタイトルの「鉄の女の涙」はいただけない。「鉄の女 サッチャー」で十分である。
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