十年は、何かが成就する最短期間か?
「十年ひと昔」という。「十年一日のごとし」ともいう。
新明解国語辞典(第七版)を引いてみる。
一年の十倍。〔現実の社会生活において何かが成就する最短期間。特に奉公の年限の意に多く用いられる〕「十年一日〔=長い期間にわたって変化が少しも見られない形容〕/十年一昔〔=世の中の変化・変遷を考える上で一区切りととらえられる十年]
一年の十倍って、そりゃそうでしょ。まあ、百年の十分の一でもいいのだけれど。
「何かが成就する最短期間」??? そうかな、十年は長すぎることもあるし、そうでないこともある。「石の上にも三年」ということわざもあるんだけど。「奉公の年限の意に多く」とあるが、よくわからない。いまどき奉公という表現はあまりつかわれない。語釈がすこし古いのではないか。
第六版までは「十年一昔」は、次のようだった。
その環境に漫然と浸っている限り十年間も短くまた変化に乏しかったようにも感じられるが、世の中をよく観て来た人の眼からすれば、どの十年間にも 何かしら変化の観察されることが多い
新明解らしい表現である。「世の中の変化・変遷を考える上で一区切りととらえられる十年」ではいかにも味気ない。かといって以前のものが妥当というわけでもない。
アナタは、この十年、世の変化にもかかわらず、漫然と過ごしてきたのじゃありませんか? と問われているような気もする。
ついでの語釈
「雌伏十年」なる表現がある。
新明解国語辞典の「雌伏」の語釈はこうなっている。
雌伏する 〔雌のごとく他に屈従する意〕 実力を養いながら活躍の日を待つこと。〔無能力な人が何もせず月日を送ることではない〕
漫然とすごしてきたことを「雌伏」などとは言ってはいけないのだ。
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