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2012年5月16日 (水)

「こころ旅」  あれば晦日に月がでる

 

 

視聴者の思い出の場所をサイクリングで訪ねる「こころ旅」という番組(NHK・BS)がある。昨日は、いわき市の塩屋崎灯台が舞台だった。

 灯台近辺は震災で大きな被害を受けた。昨年この地を訪れたときは、瓦礫が残っていた。津波にやられた家が柱だけのスケルトン状態だったことが強く記憶に残っている。灯台への道には亀裂が入り、近づくことができなかった。

 この日の番組では、その瓦礫もすっかり撤去され、灯台への道も整備されていた。美空ひばりの「みだれ髪」(髪の乱れに手をやれば 赤い蹴出しが風に舞う・・・)の歌碑のあたりもきれいになっていた。だが、観光客は少ないように見受けられた。

 さて、番組であるが、自転車のペダルを漕ぐのは火野正平である。ぬいぐるみのような服装で自転車に乗る。喘ぎながら坂道を漕ぐ姿は苦行僧のようにも映る。往年のプレイボーイの姿はない。無理もない。もう還暦を過ぎているのだから。

 火野正平といえば次々と女をとっかえることで名を残した。もて男であった。それがいま、丸坊主すがたのジジイになっている。歳月は残酷とはいわないけれど、無常なものである。しかし、憎めない可愛らしさを残しているのはさすがである。

 先日、テレビを見ていたら、男が泣きながら会見するシーンがでてきた。塩谷瞬とかいう俳優。同時に二人の女性に結婚の約束をしたということで、お詫びの会見である。一瞬、火野正平を思い出した。ただし火野正平は泣かなかった。塩谷、この程度のことで泣くな! みっともない。

 色恋はみさかいなくなることがある。ブレーキが効かなくなることがある。そこをどうコントロールするかが叡知であり教養である。うまく立ちまわるかも芸のうちである。

 落語に「三枚起請」という噺がある。花魁・喜瀬川が三人の客に「年季が明け候えば、あなた様と夫婦になること実証なり」という起請文を書いていたことがばれるという物語である。ばれても喜瀬川は動じない。泣いたり詫びたりしない。女郎の矜持である。

 こんな都々逸がある。

 四角な卵と女郎の情け あれば晦日に月が出る

 女郎の部分を塩谷と置き換えてもらって、もういちど読んでみてほしい。

 今月二十日は閏三月の晦日となる。月はほとんど見えない。翌二十一日は朔日。月は見えないが、太陽を隠す。

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コメント

昨日はありがとうございました!ブログ読ませていただきます(^^)/
火野正平さん、愛おしいですね~。

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