三遊亭兼好 明るい落語
明るく朗らかな噺家といえば、まず、三遊亭兼好を思い浮かべる。屈託のないしゃべりからはほんわかとした温もりが伝わってくる。にこやかという表現が似合う。その兼好さん(師匠というよりさん付けで呼びたい。そのぐらい親しさを感じさせる噺家である)の独演会に行ってきた。(よみうりランド駅前の棕櫚亭。普段はレストラン)
演目を紹介しておく。
「蛇含草」
「茶の湯」
「蛇含草」はそれほどポピュラーな噺ではない。餅を食べ過ぎて、うわばみが消化の手助けとして飲むという蛇含草を服用してしまう。で、餅ではなく自分のからだが溶けてしまうというナンセンス噺である。餅ではなく蕎麦を食べるというパターンもある。
食べ過ぎの噺だから、マクラでダイエットの話題。菊地容疑者が手配写真と違ってずいぶん痩せていたことに触れ、菊地式ダイエット、自分の写真に特別指名手配と書いて部屋のあちこちに貼っておけば、体重が減る、かもしれないと笑わせる。
中入り後の「茶の湯」はポピュラーな噺である。ご隠居さんが別宅を借り、小僧の定吉と住む。退屈しのぎに家にあった茶道具でお茶を始める。しかし茶道の素養はない。知ったかぶりの我流で、抹茶の代わりに青きな粉を買ってくるが、これでは泡立たないのでムクの皮(当時は洗剤として用いた)を入れたところ、うまく泡立ってそれらしくなったが、飲んだら腹を下した。それにもめげず、茶会を開いて近所の連中を招くが、連中も茶の素養はない。ということで、ばからしいこととなるといった滑稽噺である。
兼好さんの持ち味はこういう噺で本領を発揮する。明るくテンポよく演じる。素直に笑える。
兼好さんには、しみじみとした人情ものとか怪談は似合わない。怪談をやらないわけではないだろうが、演れば、陽気でドジな幽霊になってしまうのではないかと思う。それも一興であるが。
ということで、伸び盛りの若手噺家(もちろん真打ちだけど)として人気が上昇している。会場には月に一度は兼好さんを聴かないと落ち着かないというファンもいらっしゃった。わざわざ埼玉からとのこと。
近隣では、来月、成城ホールで市馬・鯉昇・兼好の会がある。楽しみ。
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