ポツダム宣言を読んだことありますか。
明日26日は、ポツダム宣言が発せられてから67年目にあたる。
ポツダム宣言といっても、知らない人が増えた。
没ダム宣言? 八ッ場ダムのこと? などと返答するのはギャグとしてはおもしろいが、いい大人でも知ってはいるけれど、読んだことがないという人が多い。
ちょっと解説しておく。1945年7月26日、アメリカ・イギリス・中国(国民政府)が日本に発信した戦争終結勧告である。ソ連はのちに文書で参加。これを日本は8月14日の受託、翌15日の玉音放送となった。
内容は13条にわたるが、A4用紙2枚に収まるほど短い。条ごとの前後関係がないので、それを整理してかいつまんで言うとこうなる。
日本に対し最終攻撃をするだけの態勢が整った。このままでは壊滅的な事態になる。もう降参しなさい。日本軍は武器を置き、無条件降伏をしなさい。軍人はふるさとに帰りなさい。日本の国土は四島とその周辺の島々とします。一定期間日本を占領します。新らしい政府(民主主義的な)ができ、それが確認できれば占領軍は撤退します。軍需産業は認めません。日本を過った方向に導いた戦争犯罪人は厳しく処罰します。
ざっとこんな内容である。おおむねこの宣言通り戦後処理されたことがわかる。
受諾まで時間がかかったのは国体、つまり天皇制がどうなるか議論があったとされる。確かに天皇制については触れられていない。日本は無条件降伏したと歴史の教科書には書かれているが、この文面を見る限りではそうではない。あくまでも軍隊の無条件降伏である。正しくは「日本軍の無条件降伏を含むポツダム宣言を日本国は無条件で受諾した」となるのではないか。
ポツダム宣言は、日本に対し戦争終結の機会を与えるという趣旨で発せられたものだが、いつまでに返答せよという期限は明記されていない。期限についてはどうなっていたのだろうかという疑問が生じる。さらに原爆である。原爆は明らかに国際的ルールに違反した戦争行為である。一般人を巻き込む残虐な兵器の使用にあたる。なぜ、日本の返答を待たずに落としたのだろうか。しかも二発も、である。
アメリカの学校では、原爆は戦争を早く終わらせるためには致し方なかった、正当な行為であると教えているそうである。だからアメリカ国民はみなそう思い込んでいる。とんでもない話だ。どう考えても、あれほどの残虐な武器使用は許されるべきではない。日本もソ連経由などで終戦の打診をしていたことはアメリカにもわかっていた。ソ連の不可侵条約の破棄にも文句を言いたいところであるが、ここでは留め置く。
原爆は、対立しつつあるソ連を威圧するために落としたとの説がある。多分そうだろう。さらに人種差別があったとする説もあるが、それはよくわからない。
いずれにせよトルーマンの原爆投下の決定は、歴史上、もっとも残虐な行為のひとつだと理解しておくべきだ。(アイゼンハワーほか軍の首脳も原爆投下には反対した)
ついでのひとこと
むかし修学旅行で広島の原爆記念館に行ったことがある。気分が悪くなって吐きそうだった。二度と行きたくない。
一度も行っていないアメリカ大統領にはぜひ行ってもらいたい。金なんとかさん、あるいは習なんとかさんにも行ってもらいたい。
さらにひとこと
ノーモア・ヒロシマという。あれは Hiroshimas と複数形にするのが文法的に正しいのだそうだ。なるほどね。
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暑中お見舞い申し上げます。ポツダム宣言は読んだことがありませんが、アメリカ政府が対日占領政策を念入りに、つまり日本の国情をよく研究して用意したことは確かです。たとえば太平洋戦争で、米軍も投降した日本兵を殺すことがありましたが(リンドバーグの日記に書かれています)、戦後伏せられたこと、原爆投下によるアメリカへの憎しみを転嫁するため、ソ連の対日参戦を促したこと(「もし(原爆投下によって)京都の文化遺産を破壊すれば、日本人は米国を永遠に恨む。それはロシアの満州侵攻で日本を米国よりにするはずの米国の政策を台無しにする」スティムソン陸軍長官の日記1945.7.24)そして戦後も、官僚やマスコミの戦争推進者を処罰せず、協力者として役割を与えたこと(CIAのコードネーム、ポダムこと正力松太郎が有名ですが、同じく原発推進に熱心だった白洲次郎などもそうだったようです)、また韓国を六波羅探題として日本統治のコマにしたこと(宮崎市定「アジア史概説」)等々。所詮歴史は勝者の都合のいいように捏造されるものですね。私たちも戦後教育、マスコミその他によって随分洗脳されてきたのだなと、このごろしきりに思います。
投稿: けやき | 2012年7月27日 (金) 16時46分