「ダークナイト ライジング」 カミング・スーン
アメリカ・コロラド州で、死者12人、負傷者40人を超すという乱射事件が起きた。バットマンシリーズ映画「ダークナイト ライジング」上映中の出来事で、犯人はコロラド大学の修士課程を修了した若者であった。犯人は、自分はジョーカーだと語っているという。ジョーカーとは、バットマンシリーズに登場する悪役である。
日本でも、この週末に公開される。どのような内容か知らないが、前作「ダークナイト」はおもしろかった。名作である。
バットマンが、ゴッサム・シティの警部や検事と協力して、マフィアやジョーカー(マフィアから支援依頼を受ける)と闘うという物語である。
単純な対決ではない。ジョーカーから挑発的な選択を迫られたりする。ゴッサムから逃げ出す二隻の客船に爆弾と起爆装置をしかけた。起爆装置は相手の船を爆発させるもので、さてどう決断するかといった究極の選択である。ヒトは合理的な選択をするのではなく、時として利他的に行動するという行動科学の論理を色濃く反映した内容になっている。今ならマイケル・サンデル教授ならどう説明してくれるのだろうか、などと思うが、サンデル教授の「ハーバード白熱教室」は日本ではまだ放送されていなかった。
さらに善と悪が交錯し、善とは何か悪とは何かという哲学的な問いかけにまで映画の物語は及ぶ。ヒトはいいことをしながら、悪いこともするという池波正太郎・梅安の世界を思い出す。
アメリカ人が大好きな精神分析手法(幼児体験とか深層意識の形成)も駆使され、並みの娯楽映画ではなかった。深―い映画であった。ただし、娯楽映画にしては暗い。ゴッサム・シティも陰鬱である。
今回とんでもない事件にからまれた「ダークナイト」シリーズであるが、前作でジョーカーを演じたヒース・レジャーが24歳で死亡している(薬物中毒死といわれる)ことを考えると、ちょっと呪われた映画でもある。
そんなことはあるけれど、単純に楽しみたい映画である。
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