志の輔らくご 大河への道
下北沢、本多劇場に大河への道 「伊能忠敬物語」を聴きに行ってきた。今月二度目のガッテン師匠である。
昨年一月(一ヶ興行)、パルコ劇場でネタ下ろしをした演目の一年半後のリバイバルである。
六日連続、マチネをいれて10回興行、すべて売り切れ満席である。志の輔らくごの人気ぶりがうかがえる。パルコには行っていないので、「大河への道」はぜひ聴きたいと思っていた。
途中休憩なし、二時間たっぷりということで、マクラはノンアルコール・ビールとコンニャクのレバ刺しの話。これは前回と同じネタ。
さらにマクラは、長崎での独演会の話題となる。2010年、龍馬ブームの真っ最中に、長崎シーボルト記念館に行ったとき、学芸員からシーボルトについての説明を受ける。いわゆるシーボルト事件で国外退去となる。理由は幕府天文方・書物奉行の高橋景保と交流し、極秘情報である日本地図を持ち出したからであった。誰がそのことをお上にチクったのか、間宮林蔵だと学芸員(たしか扇浦という人)は語る。それは推測(風説)なのだが、そのあたりのやりとりをおもしろおかしく語る。記念館に掲げられた日本地図に言及。さらにその数年前、佐原(千葉県)の伊能忠敬記念館にいったときの体験につなげる。そこから本題に入る。前置きが長い。しかし退屈するわけではない。
で、本題。千葉県で、伊能忠敬物語を大河ドラマにするプロジェクトがもちあがり(大河への道とは大河ドラマへの道ということ)、その職員の話となる。地方公務員の噺なら志の輔には「歓喜の歌」がある。あの雰囲気の延長である。
二人の職員が、加藤という脚本家に台本を依頼、その企画の説明会が明日開かれる。加藤が登場するのだが、なんとなく煮え切らない態度。物語は、伊能忠敬と幕府天文方のエピソードや伊能忠敬の死が三年ほど隠された事実へとつなげていく。内容はここで留め置く。
志の輔らくごにしては、爆笑場面は少ない。落語というより講談という雰囲気。実際、釈台を前にしてしゃべった。終了後、再び登場して、佐原で伊能忠敬を大河ドラマにする会ができたと報告があった。「伊能忠敬大河ドラマ化推進協議会」(香取市佐原)。ヒョウタンから駒というべきか、志の輔らくごからテレビドラマ化である。
2018年は忠敬没後200年にあたる。大河ドラマは無理(測量するシーンだけではもたない)としても、そこそこのドラマにはなる。井上ひさしの小説『4千万歩の男』はすでにテレビドラマ化されているし、舞台にもなっている。
江戸時代と現代を交錯させ、つまり伊能忠敬物語だけではなく、シーボルト記念館の学芸員とか千葉県職員の奮闘ぶりも交えて描くなんてのはどうだろうか。ドタバタ劇になってしまうか。となると、大河ドラマより朝の連続ドラマのほうが向いているかもしれない。「梅ちゃん先生」のノリで。
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