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2012年8月21日 (火)

俺の話を聞け  談笑ワールド

立川談笑独演会に行ってきた。

今回は、臨時増刊号と銘打って「シャブ浜」と、もうひとつはアンコール演目(ファン投票一位のもの)である。私も投票に参加した。「反魂香」に一票を投じた。じみな演目ながら、重松清の小説のような切ない物語で、いつもの談笑とは違うところが気に入っていた。聴きたかったが、まあ、少数意見だろう。結果、一位は「ジーンズ屋ようこたん」であった。意外!
 この噺は、古典の「紺屋高尾」の改作である。染め物職人が花魁・高尾に一目惚れし、金を貯めて高尾に会いにいく。その純真さに惚れた高尾は年期明けに職人と一緒になると約束するストーリーである。これを倉敷にあるジーンズ工場で働く若者と小倉優子風のアイドル・タレントに置き換えたのが「ジーンズ屋ようこたん」である。小倉優子はもはやアイドルとは言えない。結婚し、子もできた。ちょっと古くはないかと思ったのだが、そうでもなかった。談笑の熱演が光った。

中入り後、マクラなしで、いきなり「シャブ浜」となる。この演目、もちろん「芝浜」の改作だということはおわかりだろう。酒びたりの棒手振りが魚を仕入れにいった先の芝の浜で皮財布を拾うという古典中の古典である。これを覚せい剤常用のトレーラー運転手に置き換えたものだ。談志から禁演を申し渡されたといういわくつきの噺である。なぜ禁演としたのか、「芝浜」を冒とくしたと感じたのかシャブが気に入らなかったのかわからないが、弟子は師匠を乗り越えていくもの、数年後には、まあ、いいんじゃないかと禁を解いた。
 この運転手は元暴走族のリーダー、覚せい剤常用者である。三笠公園でジェラルミンケースを拾う。中には札束。家に帰って勘定すると四千二百万円あった。「芝浜」で勝五郎が拾ったのは四十二両である。これがあればシャブ打ち放題、遊んで暮らせると思ったのだが、目覚めてみると、妻から夢だと言われる。
 知らなかったのだが、この設定は、クレージー・ケンバンドの「タイガー&ドラゴン」の歌詞を下敷きにしたものだそうだ。「トンネル抜ければ海が見える・・・三笠公園・・・ダサいスカジャン・・横須賀・・・俺の話を聞け・・・」。なるほどね。
 演じた後のトークで、談笑は、強い、自立した女を描きたかったと語っていた。夫がシャブ中であることを警察に申し出る。夫は逮捕される。更生した五年後、再び出会う。当時お腹にいた子は五歳になっていた。このあたり古典噺の「子別れ(下)」を連想させる。残っていた覚せい剤を渡し、もういちどやりなさいよという。ここは「ベロベロになっちゃえ」の談志風。勝五郎の女房とは違った女性像にしたかったという。自立した女。ふーん、深いんだ。そんなことも考えず、熱演を楽しんだ。
 サゲのあとに、「タイガー&ドラゴン」が流れる。トンネル抜ければ海が見えるから そのままドン突きの三笠公園・・・・。結構でした。

ついでのひとこと
 

「芝浜」は名作だから改作もいくつかある。三遊亭白鳥は「千葉浜」をやる。快楽亭ブラックに「川柳の芝浜」がある。この川柳バージョンがおもしろい。前回紹介した落語家の川柳川柳が主人公。寄席に行くとまだ早い。場外馬券場のトイレで馬券を拾う。これが大穴の当たり馬券だった。「芝浜」の欠点を補って、なるほどそう現実は甘くないというストーリー。なかなかのものである。
 DVDもでている。ひょっとするとTSUTAYAにも置いてあるかもしれない。

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