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2012年11月25日 (日)

「人生の特等席」 イーストウッドの渋さ

 クリント・イーストウッド主演である。今回は監督はしていない。大リーグの老スカウトマン・ガスを演じる。ガスは契約切れまで三カ月を残す身となっている。再契約はどうなるかわからない。眼も悪くなった。黄斑変性が疑われる。今回のドラフトの調査が最後の仕事になるかもしれない。
 娘のミッキーは33歳。独身、有能な弁護士となっている。昇進を目指し、モーレツに仕事にまい進してきた。しかし、父親のことが心配になり、休暇をとり、父親の出張先まで出掛けていく。ガスの眼のかわりに有望選手を分析する。そこに、かつてガスが見出したジョニー(J・ティンバーレイク)が現れる。今は現役を退いてライバル球団のスカウトとなっている。ガスは娘のミッキーに仕事に戻れというが、ミッキーは父親が心配で帰ろうとせず、野球場に同行する。目当ては高校生の強打者である。将来性があるのか、ドラフト一位にすべきか試合を観戦する。

 といったような設定である。いかにもアメリカらしい映画で、スカウトマンにスポットをあてるのもハリウッドらしい。ただしドンパチはない。父親と娘をじっくり描く。
 ストーリーはシンプルでわかりやすい。ハートウォーミングのいい物語。悪口を言えば、型にはまった予定調和的な映画ともいえる。イーストウッドは気難しい顔つきでとっつきにくい父親を演じている。ときに激昂して机をたたく。妻は娘が6歳のときに亡くなっている。父親としてどう子育てをしていいのかわからない。スカウト業のため家を空けることが多い。娘のミッキーは親戚に預けられることになり、さらに寄宿生活を送ることになる。父親と離れて成長した。その分、父親との関係はぎくしゃくしているが、一方で愛情に飢えている。このあたりはアメリカ流の精神分析の影響が色濃く反映されている。したがって物語の展開もわかりやすい。
 ミッキーには弁護士のボーイフレンドがいる。そこに、父親とライバルのスカウトマンが出現する。ああ、これも、たぶんこうなるだろうと先が見える。予定調和とはこういうことだ。

でも、型にはまった部分を考えなければ、こじんまりしたいい作品である。ミッキー役のエイミー・アダムスがとても魅力的である。はつらつとした女を演じている。アカデミー賞候補だな。助演賞ではなく主演賞かもしれない。

ついでのひとこと

肩を酷使して選手生命を失うことになったスカウトマンが「(休みたいと)言って、はずされるのが怖かった」と語るシーンがある。
 休めば、仕事からはずされる、昇進の妨げになる、解雇されるかもしれない。そういう思いをしながらモーレツに働く。この映画の登場人物の多くがそういう思いを抱いている。弁護士も野球関係者もみなそう思っている。登場人物だけでない。現実のビジネスマンならそういう思いはあるだろう。それがふつうだ。だからこのセリフには共感し、みな同じだと気分が和らぐ。
 この映画に効用を挙げるとしたら、そういう思い(休めないという緊張感)をひとときでも解放してくれるところにある、と言ってもいいだろう。

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