談志一周忌 特別公演・・・立川流追善落語会
談志一周忌の落語会に行ってきた。11月21日~23日 三日間四回公演。売り出し初日にぴあにアクセスしたのだが、リレー落語の会しか取れなかった。一番人気がない会。まあ、談志追善の匂いだけでも嗅いでこようとよみうりホールに出かけた。
それにしても談志である。亡くなってから談志バブルとでもいうべき現象が続いている。談志関連の本やCDがたくさん出版された。立川流一門も、やりやすいと感じているはずだ。マクラで、談志語録や奇行をちょいとしゃべればそれだけでお客さんは聴き耳を立てる。追善落語会にこれほどの人数を集めることができるのも談志の力である。でも、いつまで続くのだろうかねえ。
さて、この会の内容は次のとおり。
口上
リレー落語
① 談志チャンチャカチャン キウイ 談吉
② 鮫講釈 志遊 談之助
③ 子ほめ 志ら乃 こしら 志らく
仲入り
立川流顧問対談 山藤章二 吉川潮
紙切り 林家正楽
落語 宿屋の仇討 ぜん馬
口上は、ずらり立川流の真打など21人が黒紋付でならんだ。壮観である。主要メンバーでいないのは談春だけ。そのかわりといってはなんだが、ミッキー亭カーティスが並んでいた。
リレー落語はそれほど見どころはない。お祭りだからね。キウイ、談吉は元気があってよい。二つめの「鮫講釈」は後半の談之助が熱演だけれど、空回り。この噺は船の上で講談(五目講釈)をやるシーンが聴きどころとなる。談之助は着物を脱いで講釈師の衣装となる。ここまではよい。俵星玄蕃、三方ヶ原の戦い、堀部安兵衛・・・・と、船べりを扇で叩く要領で演じるのだが、いかんせん滑舌が悪すぎる。何をしゃべっているのかさっぱり聴き取れない。ついにはホール内の客席を掛け回るほどの熱演でも素人芸に映る。談志は天国で耳をふさいでいるのではないか。
「子ほめ」は志らくの弟子、真打ちになったばかりの志ら乃、こしらが前半をやり、後半は志らく。こしらとの打合せが不十分で仕込みもできていないようなので、行きすぎたり戻ったりのでたらめ落語となる。でも、それを上手くまとめ笑いに変えてしまうのが志らくのうまいさ。でたらめも芸の内である。
その点、トリのぜん馬の「宿屋の仇討」はよかった。二つ目の頃、談志にほめられた数少ない演目がこの「宿屋の仇討」だとマクラで語っていた。
ということで、お祭りの追善落語会であった。最後に、山藤章二さんが語っていたことを記しておく。
談志はピカソである。ピカソ幼少のころから絵がうまかった。ピカソは抽象画が有名だが、若い頃は具象のいい絵を描いている。長じてキュービズムという抽象画を描くようになった。談志も同じ。若いころは正統の古典噺を演じてうまかった。後年になり、イリュージョンという世界に入ろうとしていた。道半ばでピカソの域に達したかはともかく、談志は落語会のピカソであった。
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