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2012年12月27日 (木)

こしら・一之輔と文菊  新・真打の落語会に行ってきた。

ことし、真打ちになった古今亭一之輔と立川こしらの落語会に行ってきた。「ニッポンの話芸 スペシャル」(成城ホール)、半年ぶりの二人会である。当人同士もそれ以来の対面だそうだ。
 こしらの真打披露は当ホールで行われた。私は野暮用で出席できなかった。なかなか愉快な披露だったらしい。マクラではその話題。師匠・志らくから、袴の帯の締め方が間違っていると直されたそうだ。こしらならやりかねない。今まで誰にも指摘されたことがなかったという。
 演目は「禁酒番屋」。まあ、はじめはまともにやっていたが、酒を飲むあたりにこしら独特の持ち味がでていた。ところが、オチの部分はさっぱりわからなかった。えっと宙に浮いたまま、終わった。これがこしらであると半分納得した。あとの半分は、まだまだ修行が足りないんじゃないの。でも、まあ、それでいい。君は下手でいい。「愛されるいじられキャラ」を演じ続ければ、それでよい。

一之輔は「蝦蟇の油」と「味噌蔵」。マクラで、こしらからもらった真打披露の手ぬぐいと扇の話。これをくさす。似顔絵をデザインした手ぬぐいを2000円で売った。この原価は180円。暴利だろうと、こしらいじり。演目の中で、こしらの酒をのむしぐさや歌(「禁酒番屋」で演じたもの)をアドリブで採り入れ会場の笑いを誘う。上手いものである。こしらの芸をしっかり聴いていた証である。このあたりが並みの噺家ではない。

話題は前後するのだが、先週末は文菊まつりに行ってきた。菊六改め古今亭文菊はこの秋、真打になった。それを祝う会が下北タウンホールであった。題して「文菊まつり~TENより愛をこめて~」。
 TENというのは、2003年に落語協会に入門した同期10人のグループの会で、数年前から活動を続けてきた。TENのメンバーを並べておくと、古今亭志ん八、柳家さん若、古今亭駒次、鈴々舎馬るこ、柳家ろべい、桂三木男、柳家花ん謝、柳家こみち、三遊亭時松、そして文菊。はっきいって知らない落語もいる。この中で文菊がトップで真打になった。
 この春、真打になった一之輔とならぶ逸材で、将来の落語会を背負う噺家と言われている。

さて、この文菊まつり、午後3時に始まって、終演予定が午後9時。長げえ。途中休憩はあるけれど、落語会にしては異常に長い。一番前の席だからうっかり眠るわけにはいかない。ちょっと覚悟のいるおまつりであった。
 10人の落語のほか、踊りとコントもあり、賑やかな会となった。落語は新作と古典が半分ぐらい。おもしろかったのは柳家ろべいのおでんネタ(演目は知らない)。鍋の中のおでんの具材を擬人化したもので、桂文枝か三遊亭円丈が作りそうなネタ。グツグツと言いながら(おでんが煮立った様子)、はんぺんさんとかゲソ巻きさんとかやるばかばかしい噺だが、ばかばかしい分おもしろい。ろべえは声もいい。
 馬るこは玄達者である。このメンバーでは次の真打は馬るこだろう。今回は「新宮戸川」。新とついている分、改作となっている。もうすこし整理したら、うんといい噺になると思う。
 とりの文菊は「夢金」。冬の隅田川を舟で漕いでいく噺である。この季節にふさわしい演目。以前、文菊(当時は菊六)を聴いたとき、小気味のいい、上手い噺家だと思ったが、とびぬけて、という感じではなかった。それが今回は違っていた。感心した。テンポがいいし、声の使い分けも巧みであった。なにより堂々と演じている。なるほど28人抜きの抜擢、という意味がよくわかった。
 後半、おしりが痛くなった。長時間、堅い椅子(このホールの前の二列はパイプ椅子)に座るのはつらかった。

 一之輔と文菊。逸材である。将来の落語会をリードしていくのは間違いない。二人は落語協会であるが、他の団体にも逸材はいる。これからの芸の凌ぎあいが楽しみだ。

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