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2012年12月 2日 (日)

 ウサギを食べたことありますか。 

下北沢を歩いていたら、スペイン産うさぎというメニューがでている焼鳥屋があった。ウナギではなくウサギね。日本では珍しい。
 むかし、ヨーロッパに行ったとき食べたことがある。味は忘れた。とびきり美味しいとか不味いというものではなかったのだろう、記憶は飛んでいる。パリの市場で軒下にぶら下げられたウサギをみたことがある。日本では見られない光景なので記憶に残っている。むこうでは普通に食べられているようだ。
 ウサギの肉がポピュラーでないのは家畜にならないからだ。多くの動物を家畜にするためには、おとなしい(人に馴れている)、育てやすい(丈夫、餌が身近にある)、食用にできる(旨い、肉としての生産効率がよい)、肉以外の利用度が高い(皮革)などの条件がいる。豚、牛、鶏などはその代表で、ウサギはその条件のどれかが欠けているから、家畜としてポピュラーにはならない。
 家畜としての条件が整っていても、ペット化していると食するには抵抗がある。犬猫のたぐいがそうだが、ノラであっても食用にはしない。であるけれど、世界にはそれを喰う地域もある。

中国ではちょいと前までは食されていた。いまも食べているかもしれない。それを野蛮だと思うのはそういう食文化がたまたまなかったからそう思うだけのことである。日本でも犬を喰う習慣はあったが、生類憐みの令以降、すっかりなくなった。もっとも、飢餓のときは食された。ほんとかどうか知らないけれど、赤犬が旨いという。
 犬は喰うが、猫を喰うという話は聞いたことがない。なぜ猫を喰わないのだろうか。難問である。犬は化けないけど猫は化ける、なんてつまらないことを空想すると、とんでもないことを言うんじゃないと愛猫家はお怒りになるかもしれない。ほんとうに猫喰いはないのか。いや、ひとつ思いだした。
 第二次世界大戦、ロシアがソビエトに侵入したとき、レニングラードは包囲された。食糧は乏しくなり、配給のパンもわずかとなった。結局、かなりの人が餓死したのだが、猫が食用に回された。けっこう高値で取引され、ご馳走となった。たいへん旨かったという記録も残されている。いざとなれば、猫だって喰えるのだ。化けて出ることを恐れなければ喰える。でも、飽食の世だから、進んでは誰も喰わない。当たり前だ。ゲテモノ喰いでも食さないと思う。それが文化だ。

 ウィキペディアで猫食を調べてみたら、けっこう食べている地域があることがわかった。食糧不足なら猫も犬も貴重なタンパク源になるということだ。いざとなったらタブーはない。

 ついでのひとこと

小咄をひとつ。うるさい猫を静かにさせる方法をご存じだろうか。たちまち大人しくなる。
うるさい猫の耳をひっぱって、こうささやく。

「静かにしねえと、三味線屋に売り飛ばすぞ!」

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