「恋のロンドン狂想曲」 ゆったり流れるジャズ
都会的な洒落たラブコメディといえばウッディ・アレンである。ロードショー公開されているアレン監督の「恋のロンドン狂想曲」は、今年、上映された「ミッドナイト・イン・パリ」の前作にあたるということだ。
「ミッドナイト・イン」もそうだが「ロンドン狂想曲」も周りからの雑音に耳を傾けず、好きなテーマを自由に追いかけて気楽に描いている。肩に力は入っていない。人生なんてこんなものさといった諦観がほどよく漂い、ユーモアも上質、深刻なテーマでもアレン節にアレンジされている。
二組の夫婦が描かれる。アルフィ(アンソニー・ホプキンス)は七十歳ぐらいか。健康を気遣うとともに若いセクシーなコールガールに夢中になる。妻のヘレナは前世や来世を信じるオカルトグループにはまりこんでいる。そして離婚に至る。その夫婦にはひとり娘のサリー(ナオミ・ワッツ)がいる。夫のロイ(ジョシュ・ブローニン)は売れない作家で新作は出版されない雲行きにある。窓越しに見える隣の家にはインド系の美しい女性がいて、その娘にちょっかいをだす。サリーはサリーで、勤めている画廊のオーナーに惹かれる。
アルフィーはそのコールガールと結婚しようとし、ヘレナはヘレナで同じグループの男と意気投合する。一方、サリーの恋は実らない。ロイは交通事故で亡くなった友達(実は意識不明)の小説をパクって出版にこぎ着ける。
つまり4プラス4、8人の人間像がスケッチされるわけである。深刻そうな雲行きになるエピソードもあるけれど、アレン風のユーモアで、しょせん人生はから騒ぎと淡々と描いている。ロイの行く末などサスペンスになりそうな雰囲気もあるけれど、それはそれである。
連続テレビドラマのようである。「男女八人 恋のから騒ぎ」といったタイトルが浮かぶ。
流れる音楽はなつかしいラジオ・デイズのゆったりしたジャズ。「オンリーユー」や「星に祈りを」など。音楽も楽しめる。
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1日のことですが、映画「恋のロンドン狂想曲」を鑑賞しました。
離婚した老夫婦と危機的状況にあるその娘夫婦
2組のカップルを軸にしたラブコメディ
監督はウディ・アレンということで
ユーモアと皮肉を効かせていて ただのラブコメにあらず
本作も人間の可笑しさが ...... [続きを読む]
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