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2013年2月 2日 (土)

「ライフ・オブ・パイ」  トラと漂流した少年  

  

ちょいと時間ができたので、映画を観にいった。「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」。予告編は何度も観た。救命ボートの中で何日もトラと一緒に過ごすという物語で、なんとなく窮屈そうな映画だろうと思い、観る気はしなかった。でも、評判は悪くない。「アウトロー」と比べて、こちらを観ることにした。
 インドで動物園を経営していた家族が動物と共にマニラ経由でカナダに移住することになった。太平洋上で船が嵐で沈没してしまう。パイ少年は救命ボートにかろうじて乗り移る。嵐が止むと、船には足を折ったシマウマ、オランウ―タン、ハイエナ、そしてベンガルトラがいた。シマウマはハイエナに食われ、ついにはトラと少年だけがボート生活を送ることになる。で、救助されるまでの227日、トラに襲われる恐怖と闘いながらどのように生き延びたかが描かれる。大半は船の上のシーンだけかと思ったが、前半は旅立つ前のインドでの様子、動物への関心、初恋、そしていくつもの宗教への関心などが描かれる。

 船が沈没するシーンは迫力がある。3Dで観る価値があるかもしれない。救命ボートに乗り移り、ついにはトラとのサバイバルとなるのだが、それが落ち着くと、画面は一変して幻想的なシーンとなる。ウミホタルだろうかクラゲだろうか、船が夜光体に包まれ、クジラが飛び跳ねるシーンなどが続く。イルミネーションを眺めているようである。幻視的で美しい。パイ少年の幻覚ではないかとも思われる。
 船はミーアキャットの生息する浮き島に漂着する。おとぎ話に登場する島のようで、パイは夢想の中にいるのではないかと思わせる。
 最後には救出される。ネタバレ領域に踏み込まないように慎重にことばを選ばなければならない。トラの話は、パイのホラかもしれないと思わせる。日本人の保険会社の調査員との面談場面がある。調査員はそれが信じられない。納得できる物語ではない。ではパイはウソをついているかというとそうでもなさそう。まあ、真相はそれぞれの観客が判断すればよいことであろう。

ついでのひとこと

日経新聞の「私の履歴書」、1月は作家の渡辺淳一だった。立身出世のサクセスストーリーが多い中、人生前半の恋愛遍歴を描くという異色の自伝であった。渡辺淳一だから、ありうる話だが、内容はかなりフィクションが入っているのではないか。初恋の女性の話(ここでは記さない)など、読まれた方は驚いただろうが、あれは作り話だと思う。記憶というものは歪められる。当人は嘘を書くつもりはないけれど、心の中で結晶化(クリスタリゼーション)されていったため、非現実的な、小説のようなエピソードに仕上がったのではないか。
 パイ少年の物語も、心の中で結晶化され、記憶が変容されたものだという解釈もできる。

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