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2013年4月23日 (火)

柳家花緑    花緑は花緑

今月の「この落語家を聴け!」は柳家花緑であった。

花緑は先代小さんの孫である。小学校6年のときに落語を始め、しっかり基礎を学んできた。現在41歳。落語界のエリートである。でも、私はそれほど評価をしていない。相性が悪いというか、へたじゃないけれど、光るものが感じられないのだ。
「笠碁」は、比べてはいけないかもしれないけれど、先代小さんの域に達していない。演じるには若すぎるのかもしれない。「七段目」は直前に柳亭市馬のそれを聴いていたせいもあるが、市馬とは差がありすぎる。基礎はできているのだが・・・。
しかし、最近、花緑がよくなったという声を聞くようになった。どうよくなったかはわからない。ならば、聴いてみましょう。
 なにを演るのか。花緑はひょうきんな顔をしている。持ち味はそこにある。重厚なネタより、長屋の八さん熊さんが出てくるような軽いこっけい噺が花緑には似合う。そういう演目にこそ花緑らしさが発揮できる。そんな気がする。

開口一番はなし。いきなり花緑が登場した。まくら短めで噺に入った。演目は「つる」。このあと高座から降りず、「権助提灯」「出来心」「二階ぞめき」を立て続けに演った。

四席立て続けという落語は聴いたことがない。熱演であった。比較的軽い、おなじみの噺であるけれど、バラエティに富んでいて飽きさせない。思いがけずよかった。花緑らしさがでていたのではないかな。軽いこっけい噺が花緑には似合うと書いたが、まさにそういう内容だった。「笠碁」のような噺はもっと歳をとってからでいい。いや、小さんの芸は受け継がないというぐらいの覚悟で演じるほうがいいと思う。えらそーに私が言うようなことではないけれど。

中入り後は広瀬和生さんとの対談。これがよくしゃべった。小三治師匠から「道具屋」や「野ざらし」を教わったなど。ただしほめられたことは少ないとか。

  花緑には、将来小さんを襲名するという話題がつきまとう。孫だからそういうことになるのだが、花緑のままがいいような気がする。現在は花緑の叔父が小さんを襲名しているが、そのままにしておいたほうがいい。志ん朝は志ん朝。馬生も志ん生を継ぐことはなかった。
 正蔵なんて、今のとか先代のとかいちいち言わなければならないのは面倒でもある。もういちど言う。花緑は花緑でいい。

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