『デスク日記』 再刊。きのうの続き。
・日韓交渉ついに一四年ぶりに正式調印。竹島問題はタナ上げのまま。(1965/06/22)
*竹島問題が発生したのは1952年、「李承晩ライン」が引かれた時。それ以降、ずっとぐずついた問題となっている。
・夜、三笠宮がブレーキを踏み遅れ、青山の交差点でハイヤーに追突、三重追突のきっかけとなる。敬語の使い方が問題。最初に記事で「三笠宮がタクシーに追突された」と書かれたため、被害者が三笠宮と思ったと大笑い。(1965/10/11)
*動詞の活用が、敬語と受身ではおなじとなる場合が多い。「された」が受身か敬語か、前後関係をみないとわからない。「追突なされた」なら間違えなかったかもしれないけれど、それでも変だな。
・ワシントン・ポストのシモンズ記者によれば、B52爆撃機墜落時の水爆一個が、北カロライナ州の地中に五年前から埋まっているのをはじめ、爆撃機が墜落しそうになったとき、重量を軽くするためにしばしば海中に捨てられた原爆の数は「極秘」という。(1966/03/02)
*起爆装置を作動させなければ爆発はしないだろうけど、物騒な話である。60年代には、日本に駐留する米軍機の墜落事故がいくつも起きている。今、起きたら、大問題になるだろう。
・衆院決算委を舞台に、「国会で追及するゾ」と脅しては利権をつかみ、やがてモミ消し側に回るという田中のやり口は、放火と消防の一人二役を兼ねるマッチポンプとして話題になっていた。きょうの逮捕の直接の容疑は、虎ノ門の国有地払い下げをめぐって国際興業社主小佐野賢治から一億円を脅し取った件と、埼玉県の住宅公団深谷工業団地を買って大映永田雅一社長に不正転売し一億円をだまし取った件その他となっているが、他にも関連事件は多い。(1968/08/05)
*田中とは田中彰治衆議院議員。爆弾男として勇名をとどろかせたが、要はヤクザの手口。このあと、ある検察幹部の声を紹介している。「これで戦後の三悪人のうちMとTはすんだが、あと一人Kは近頃大分おとなしくしているようだ」。Mは森脇将光(吹原事件)、Kは児玉誉士男のこと。まだロッキード事件は発覚していない。
・慶応病院でデビ夫人が女児を出産、AP、UPIなどは至急報で大国際事件並みに東京から打電していた。「日本の子供は世界一数字ができる」と「数学の学習成果に関する国際的研究」がシカゴで発表された。(1967/03/07)
*デビ夫人の出産はイギリス王室並みの扱いだったということか。現在、デビ夫人はお笑いタレントだけど・・・。後半の数学こともそうだが、隔世の感がある。
・アメリカの最高裁は「白人と黒人の結婚を禁止したバージニア州法は憲法違反」の画期的判決を下した。こういう判決歴史的なものとして注目されなければならないアメリカの恐るべき後進性。米国南部には似たような州法規定が一五州もあるという。(1967/06/13)
*この判決が画期的という部分に注目。リンカーンが南北戦争終結後に出した奴隷解放が1865年である。公民権法が制定されたのは1964年。百年後である。
・黒人解放運動のM・L・キング牧師が、メンフィス市で白人に射殺された。ジョンソンはハワイ行きを急いで中止した。ベトナム対策首脳会議を開くより、重大な緊急事態。(1968/04/05)
*予想通り、このあと全米で黒人暴動の火の手があがった。
書き写すのも疲れる。ピックアップしておきたいことがいくつもあるけれど、このぐらいにしておこう。
当時、小和田次郎は誰なのか、複数の記者が書いているのではという推測があったという。著者は、それだけ情報網を張り巡らせていたかということであろう。
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