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2013年8月 6日 (火)

『耕せど耕せど』  伊藤礼の家庭菜園

 

23区内に10坪を越す家庭菜園を有していたら、豪農といってもよい。ピーマン、シシトウ、オクラ、ネギ、ミズナをはじめとしてカボチャ、クワイ、ダイコンなど10種類を越す野菜を栽培している。型耕運機も所有している。伊藤礼氏は自転車を乗り回しているだけのサイクル人かと思っていたら、サイエニスト(菜園人)でもあるのだ。御歳八十。杖をついていてもおかしくない歳なのにたいしたものだ。
 テレビ番組を見るぐらいなら、庭の、いや農園の作物を眺めていたほうがよいという。「ナスはテレビと違って清潔で清楚で愛らしく、知的で奥床しく、いつも成長の努力をしている。いつまで見ていても見飽きない」。
 菜園をおやりになっている人なら十分承知されていることだが、農業とは苦労が絶えない仕事である。種を播けばそれでおしまいというわけにはいかない。施肥、草取り、水やり、摘果、収穫までやらねばならないことがいっぱいある。病気(ウドンコ病など)を気遣い、害虫駆除もしなければならない。さらに収穫したとしても、その後の処理(仕訳や加工、市場への搬出)もある。家庭菜園なら食べきれないほどの収穫で処分に困ることもある。
 といった苦労話を、ユーモアを交えて書いている。最終章で、「戦時農場の設計」という印刷物に触れている。戦時中に出されたもので、「庭先農園」で一年中野菜を絶やさず作る計画表である。いかにも戦時下らしい。父親(伊藤整)の書斎で見つけた。来年からそれを参考にして野菜作りに励もうと結んでいる。

元気なのはなによりだが、なにせ八十である。暑い盛り、熱中症には十分留意され、野菜作りに励まれんことを切に願っている。

(東海大学出版会)

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