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2013年8月18日 (日)

「最愛の大地」 ユーゴ内戦を描く ④ 

 

 

 映画に戻る。

 内戦勃発によりアイラとダニエルは敵味方の別れてしまう。捕えられたアイラはボスニア軍の将校となったダニエルと再会する。ダニエルはアイラを守るため、アイラに肖像を描かせるとの理由をつけて自らの庇護下におく。そして機を見て脱走の手助けをするが、アイラは再び捕えられてしまう。
 ダニエルの父親はボスニア軍の将軍である。幼いころ、母親と姉をムスリムに殺されており、剥き出しのセルビア主義者である。ダニエルがムスリムであるアイラを庇護するのは許せないとの感情を抱いている。ダニエルがいない隙に、兵士の一人にアイラを犯させる。
 ときは過ぎ、民族浄化を非難する世論(ボスニア側の宣伝が功を奏した)に押され、クリントン大統領はNATOによるセルビア軍への空爆を決断する。そして、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦はさらに泥沼化していく。
 ネタバレになるといけないから、これ以上のストーリー紹介は避けるが、予想もしない悲劇的な結末を用意しているとだけ言っておこう。これが戦争の現実である。甘くはない。それがアンジェリーナ・ジョリー監督の視点であり、問題意識である。

 

印象に残った場面をひとつ。ダニエルの部下の兵士が、子供ができたと喜ぶシーンがある。「俺たちが戦って勝てば、息子は戦わなくてもいい」。みな、そう信じて戦うのだろう。しかし、現実は、非戦闘員も巻き込む。次世代の若者が戦争に駆り出されないという保証はない。

戦争、とりわけ民族紛争は何世代にわたって続くことが多い。恨みつらみは忘れないものだ。恨みがさらに大きな憎悪を生む。やられたら、やり返す。さらに、やり返す。
 
倍返しだ、十倍返しといった報復の連鎖(チェーン・リベンジ)となる。

 

ということで、ちょっと長引いたが、映画については一区切りとする。

 

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