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2013年9月 5日 (木)

圓太郎落語会 容子がいい

 

「容子(様子)がいい」という江戸ことばがある。立ち居振る舞いが粋だとか、しぐさがあか抜けているといった意味である。現在では落語の世界ぐらいでしか使われない。

 その容子がいいにふさわしい落語家と言えば、まず橘家圓太郎を思い浮かべる。高座にあがり、座布団に座る。そのとき着物の裾をきちんと折りたたむ。圓太郎はこのしぐさが粋なのだ。ふつう手でやるのだが、圓太郎は扇子の先でちょぃと裾を折りながら座布団に座る。かっこいい。こういうしぐさができる人は落語もうまいのだろうなあと思わせる。

その圓太郎の独演落語会に行ってきた。読売ランド前の棕櫚亭。ふだんは喫茶軽食の店である。小さな場所だが、軽い噺はしない。今回の演目は「野ざらし」と「甲府い」。

「野ざらし」はおなじみのこっけい噺。「鐘がボンと鳴りゃ上げ潮 南さ・・・・」と釣竿片手に陽気に歌うところが観せどころ聴かせどころである。このサイサイ節をどう歌うかで、うまい噺家かどうかがわかる。下手に歌うとしらけるし、うますぎてもいけない。噺家も力をいれるところである。圓太郎は、ひたすら無邪気に、陽気に歌った。

「甲府い」は、甲府から江戸に出てきた男が豆腐屋で働く人情噺である。煮売りのシーンがある。「豆腐ィ、胡麻入りがんもどきィー」という売り声。これがオチの伏線となる。
「願ほどき」という言葉がでてくる。願いがかなったときのお礼参りのことで、これが、がんもどきと願ほどきの語呂あわせとなっている。

熱演であった。うまいもんだねえ。顔は黒くて、いかついけれど、しぐさと声は粋である。

高座にあがるしぐさは、ぜひ一度、寄席で観ていただきたい。

 

 

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