無料ブログはココログ

« 小三治独演会   マクラは柿の話題で | トップページ | 禅寺丸柿の季節  飢饉柿 »

2013年10月19日 (土)

「トランス」  夢は五臓の疲れ

 

「スラムドック&ミリオネア」のダニー・ボイル監督作品である。

オークション会場をギャングが襲い、ゴヤの「魔女たちの飛翔」を持ち去る。競売人のサイモンもギャングの一味だった。持ち去る途中でトラブルがあり、サイモンはリーダーのフランクに殴られる。その衝撃で記憶をなくしてしまい、盗んだゴヤも行方不明となってしまう。サイモンの記憶がよみがえるのを待つしかない。心理療法士のもとで記憶を呼び戻そうとする。

そこまではいい。その後が、記憶と現実、そして幻想が入り混じって、わけがわからなくなる。すべて夢の中かと思うとそうでもなさそうだし、観客を惑わせる。

落語だと、ああ夢だったかというオチになるものある。ねずみ穴、天狗裁き、心眼、宮戸川・・・といくつもあるが、映画となると、夢だけでは済まされない。どこまでが幻想でどの部分が現実なのかわからなくなる。この映画も、結末には種明かしはあるのだが(ヒントでも言っておきたいが、それもネタバレにつながるのでやめておく)、すべて納得できるかというとそうでもない。

騙されることが楽しい、騙されるのもエンターテイメントの内という映画ならよいのだが、そうでもなく、種明かしもいい加減で、納得できないような結末となる映画もある。この「トランス」はその手の映画ではないのだけれど、もう少しわかりやすい伏線があってもよい。

それにしてもアメリカ人(監督はイギリス人だけど)は精神分析的なアプローチが好きである。フロイドやユングの思想がしっかりはびこっているのを感じる。

 

ストーリー展開とは関係ないのだが、裸像でヘアが描かれたのはゴヤの「裸のマヤ」が初めてで、それまでは無毛だったとコメントする場面がある。へー、そうなのか。そんなこと考えもしなかった。ルネサンス期の絵画には、ヌードはあってもヘアは描かれていなかったということか。絵画に詳しい方、そのあたりのコメントをぜひお聞かせいただきたい。

ということで、幻覚と現実の交錯。ちょいと疲れる。このところ、忙しかったからなあ。

で、サゲのひとこと。

夢は五臓の疲れ

« 小三治独演会   マクラは柿の話題で | トップページ | 禅寺丸柿の季節  飢饉柿 »

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「トランス」  夢は五臓の疲れ:

« 小三治独演会   マクラは柿の話題で | トップページ | 禅寺丸柿の季節  飢饉柿 »