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2013年10月16日 (水)

小三治独演会   マクラは柿の話題で

 

 

台風接近中の雨ん中、小三治独演会に行ってきた。会場(麻生市民ホール)までは五分とかからない。どうってことはない。

柳家小三治はベテランに域を超え、引退までどれほどかが噂されるような年齢と健康状態にある。高座にあがるが、その日によって出来不出来が大きいという。最近はあまり聴いていないのでそのあたりはよくわからない。軽く気楽なネタ、たとえば「小言念仏」で済ませることもあるそうだ。まあ、そうなんでしょうね。

同じ日に町田では立川談春の独演会がある。そりゃ談春のほうが旬だから、談春を選択すべきだろうが、小三治を聴く機会はこれからそんなに多くはない。で、小三治を選択した。

ただ、小三治は息抜きがうまい。落語協会の会長職も全力ではやっていない。いい意味で自己管理ができている。わるくいうとわがまま。こういう人は長生きする。まだまだ先はあるようにも思う。御歳七四歳。年齢だけならまだまだ先がある。

  開口一番は柳家禽太夫があがった。真打だから開口一番というのは失礼かもしれない。演目は「転失気」。知ったかぶりの和尚さんの噺である。堂々と演じた。あとで、小三治が「久しぶりで禽太夫の『転失気』を聴いたけど、ずいぶんうまくなっている。驚いた。むかしは聴けたもんじゃなかった。笑わせたいという気持ちが出すぎていた」と語っていた。声の通りもいいし、テンポもよかった。

 さて、小三治。例の調子でマクラたっぷり。柿の話題。

このあたり(麻生区)はかつて柿の産地であった。日本で最初の甘柿(禅寺丸柿)の発祥地でもある。小田急線には柿生という駅もある。

小さいころ食べた小粒の柿がうまかった記憶がある。禅寺丸柿の味や形と似ている。だから下記のシーズンにこのあたりに来るのは楽しみだといったことを語り、実際に高座でも、もらった柿を披露する。この柿の話題だけでも30分以上かけた。なんでもない話題なのだが、なんとも可笑しい。小三治の巧みな話術が光る。

演目は、おなじみの「野ざらし」。いつもどおりの展開で、アドリブもないのだが、何度聴いてもおもしろい。

中入り後は「一眼国」だった。冒頭、浅草寺の話。山号がでてこない。えーっと手を回して、思いだそうとするが、「金龍山」のひとことが出てこない。「最近、度忘れが多くなった」とぼやく。そっと教えてやりたくなったけど、席は離れているからむり。まあ、度忘れは誰でもある。それをどう繕って笑いに変えるのがプロである。そのあたり、小三治は手慣れたものである。小三治のフラ(独特の持ち味、おかしみ)がおぎなって余りある。全部忘れると、最晩年の桂文楽になってしまうけど。

この噺、一つ目人間を見つけて、見世物にしようとする話である。サゲはよくできていて、おもしろいのだが、それまでの展開は大したことはない。サゲだけが命という噺である。本筋に入る前の見世物小屋の様子を面白おかしく演るのが見せ所となる。しかし、他の古典噺に比べると、つまらない噺である。

そんな思いもあるので、ちょっとこの演目には不満だった。終演はおもいがけず早かった。台風が近づいているので、早く終わりましょうという気遣いだと、好意的に解釈しておこう。

 

 

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