じゅげむの会 こみちの子育て
女性の噺家が何人いるかは知らないけれど、どの女性がお薦めと訊かれたら、柳亭こみちを推す。今年、真打になった女性落語家に柳家つくしがいるけれど、まだ二つ目のこみちの方がうんと上手い。つくしには悪いけど・・・。
前回、こみちを聴いたのは出産間際のときで、これから産休にはいると語っていた。無事5月に男子を出産、ふたたび高座にあがることになった。旦那は漫才の宮田昇(コンビの小さい方ね)である。
こみちのよさはきりりと引き締まった口調にある。気風がいい。やっちゃ場で元気のいい声をだしている小柄な娘を連想していただければよい。顔つきは自称であるが萩原流行に似ている。そういえばどことなく似ている。
11月28日には国立演芸場で独演会もある。実力派だと思っていただきたい。
昨夜は、そのこみちが出る落語会に行ってきた。「そうだ じゅげむ きこう」という成城ホールでの若手落語会である。いつも観客は少ない。当日券はたっぷり残っている。それほど名は知られていないが、木戸銭は千円と格安だから、もっと来てもいいと思うのだが・・・。
今回の演者は三人。三遊亭わん丈、柳家花ん謝、そして柳亭こみち。
この会は、最後に全員が登場してトークで締めるというパターンであるが、今回はいきなりトークだった。これはこみちが授乳のため早く帰りたいからそうしたのだそうだ。母乳なんだ。で、トリも花ん謝が務めることになった。
わん丈は前座であるが、前座噺ではない「蝦蟇の油」を演じた。円丈の弟子だけに、古典でも普通どおりには演らない。タイガーバームなども飛び出し、聴きごたえがあった。将来性を感じさせる出来だった。
花ん謝は二席、「寝床」と「佃祭」。これも手慣れたもの。「佃祭」は、オー・ヘンリーの短編小説のような人情噺である。笑いが少ない噺なので、その分難しいのだが、それをきちんと演じた。
さて、こみちは「堪忍袋」と「姫と鴨」。きりりと引き締まった口調は相変わらずである。演目の「姫と鴨」は「目黒のさんま」の姫バージョンである。三遊亭白鳥の作。お殿様とさんまを、お姫様と鴨(鴨の南蛮焼き)の置き換えた新作というか改作である。リズム感があって聴いていて心地よかった。
こみちは踊りもうまい。ときとき高座で奴さんやかっぽれを踊る。今回はなかった。授乳のため帰りを急いだ、ということではあるまい。
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