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2013年12月29日 (日)

 よろしく、という呪文

 

 猪のどんが辞任した折、自分はアマチュアだったと反省の弁を述べていた。

 まあ、そうよね、ベテラン政治家なら、金の出入りはきちんとし、怪しい金はばれないよううまく処理している。でも、アマチュアなら、大金を出されたら、アマチュアらしく、これは変だ、ひも付きかなと疑い、ならばマズイと反応すべきだったとも思う。

 正々堂々と寄付を受けるよう手続きすることを考えなかったのか。5千万円である。尋常な金額ではない。借入かどうか、無利息、期限なしなら、もらったのも同様である。そこに何らかのメッセ―ジが込められていることは言うまでもない。

 経済学は、モノやサービスの価値として使用価値交換価値があることを教える。ABCである。だが、そこにもうひとつ呪術価値があることを付け加えておきたい。*呪術価値は、私がつくった造語だから、教科書には載ってませんよ。

 交換を媒介するのはお金(貨幣)であり、それ自体が交換価値をもっている。お金にも呪術価値がある。それをやりとりする際には、有言無言を問わずなんらかのメッセージが込められている。

 贈り物で説明するとわかりやすい。贈り物には拘束的なメッセージが色濃く出る。呪文が込められている。

 今回の例で説明すると、ぽんと5千万円である。そこには、「よろしく」という呪文が込められている。許認可をよろしく、東電病院を売却する際にはよろしく。そう明言したかどうかは知らない。それはどうでもよい。贈り手の方は、ただで差し上げるわけじゃありませんからねと、暗黙のメッセージを発信している。受け取った方は、その金に拘束される。いずれの機会には贈り手の意向を慮ることになる。

 勤め人のアナタは、この冬、ボーナスをもらっただろう。その多寡、昨年との比較などにより、そこに込められた経営者や管理者からのメッセージ、たとえば「よく働いてくれたから大幅に増やしたよ」とか「働きが悪かったから査定を落としましたよ」とか「業績が悪いのにこれだけ出したんだ。ありがたいと思え」「来年はどうなるかわからないよ」などが込められている。読み取れない? 鈍感ですなあ。

 呪術とか呪いというとおどろおどろしいイメージになるが、裏メッセージと考えればよい。相手を精神的に縛るのである。

 

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