寄り添って、ことばもありません。
今年の流行語大賞は、複勝馬券を当てるようなゲームで、順当というより、面白くもなんともなかった。つ・ま・ら・な・い。
それより裏流行語大賞とでもいうべき賞があってもいいのではないかと思っている。あまり流行らなければ流行語大賞にはならないわけで、そのあたり難しいのだが、ダメことば大賞とかトンデモ流行語大賞を選んだ方がおもしろい。
気になることばに「ことばもありません」がある。ちょいと流行っている。常套句化している。このことば自体に文句があるわけではないが、あまりにも安易に使われることが苦々しい。
思いがけない事態で、絶句することはあるとしても、それを文字で表現するときにはきちんとことばで表現すべきである。それが文章、たとえば弔辞を読むときに「ことばもありません」では白々しく感じてしまう。そんな安易につかっていいのかよと思う。
テレビで、級友の死を悼み、中学生が弔辞を読んでいるシーンが映し出された。案の定、ことばもありませんと述べていた。やめてくれ! ことばできちんと悲しみなり怒りを表現しろよ、と言いたくなる。こう言っておけば無難である、つかいやすい、ということであろうが、安直にすぎる。思考停止ことばである。
もうひとつ、「寄り添う」を挙げておきたい。
ちかごろ、目にしたり耳にすることが多くなった。被災者に寄り添う、大衆に寄り添うとか、ずいぶん目にするようになった。物理的に寝たきり老人に添い寝をするように使われることもあるが、「相手の思いに寄り添う」といった表現が多くなった。
べつにわるい意味ではないけれど、こうも多用されるとうんざりする。ほんまかよ、じゃあ、同衾してよ、と寝たきり老人なら声をあげたくなるのではないか。若い女性なら、セクハラ? 新明解国語辞典の語釈は「相手のからだに触れんばかりに近くに寄る」である。
同情する、あるいは相手を理解するということだろうが、ほんとうに理解し、気持ちに沿って振る舞まっているかというと、はなはだ怪しい。ただ、理解してますよと空虚にのたまっているだけじゃないのかという気がしてしまうのだ。思いを汲んでとか、相手の考えに沿ってとか、言い方はいろいろあると思う。
ひがみ? へそ曲がり? まあ、多少あるかもしれないけれど、寄り添うなどと安易に使われると、ちょっとキモイ。
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