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2014年2月20日 (木)

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」  なぜ ヴァンパイアか

  ジム・ジャームッシュ監督作品である。ジャームッシュとは相性が悪い。世の評価は高いが、そのおもしろさがわからない映画が多い。わからないけれど、そのわからないところが少しおもしろいと思うこともある。

 今回はヴァンパイアものである。ヴァンパイアものだから観る気になった。

 それにしても、ヴァンパイア映画は多い。欧米ではヴァンパイアものの人気が高い。その理由は、実のところよくわからない。よくわからないから、なぜもてはやされるのかを探究したくなる。

 

 ヴァンパイア(吸血鬼)はヒトの生き血を糧として永遠の命を有している。もっとも心臓に刀を突き立てられれば死ぬ。生き血がなくなれば餓死することになる。ヒトの血さえあれば長生きできるのだ。

 苦手がある。これはドラキュラに代表されるが、十字架とニンニクが苦手である。昼の光にも弱い。

 ヒトにとっては恐怖の対象である。幽霊のようなものだが、怨霊ではない。生き血を吸われれば死を迎えることになる。

 これまでにさまざまなヴァンパイアが登場してきたが、ひとつの傾向として、人間社会と折り合いをつけて存在するヴァンパイアも増えている。合法非合法は問わずに生き血を入手し、直接ヒトを襲うことのないヴァンパイアである。ヒトとの共生を目指す。

今回の映画も、そのジャンルに入る。なにやら訳ありの恋人同士が登場する。アダムはミュージシャン。前衛的なギター奏者であり作曲家である。恋人のイヴがデトロイトに住むアダムのもとを訪れる。ヴァンパイアであるが、ヒトの生き血を吸うことはない。病院(研究施設?)で闇の血を買っている。

 デトロイトは廃墟になっている。自動車産業の衰退により活気を失っている。そこを車で走る。ジャーミッシュ得意とする映像である。

 後半になってイヴの妹が登場する。奔放な娘である。静かに暮らしてきた二人の生活をかき乱す。

 音楽は、静かな前衛的なロックというべきか。この映画は音楽でできているといってよい。

 さて、お定まりとなるのは、生き血の調達である。病院での調達は難しくなる。

 結末はある程度予想できる。それは映画を観てのおたのしみ。ジャームッシュにしてはわかりやすい映画となっている。

 

 ついでのひとこと

ヴァンパイア現象(なぜヴァンパイアものがもてはやされるか)を、近代進歩主義への批判・反省と位置づけ、中世的神秘主義の再評価などと結論づける社会哲学者もいる。わけのわかったようなわからないような推論で、ポストモダンということになろうが、凡庸でちょっと古臭くもある。

それよりも、ヴァンパイア側の変化、人間社会と折り合いをつけようとする傾向が表れていることに注目したい。

 

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