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2014年3月 9日 (日)

「それでも夜は明ける」  脚本がいい。

 

 

 アカデミー作品賞に輝いた映画である。さっそく観てきた。

 実話に基づく映画だそうだ。主人公ソロモン・ノーサップはバイオリン奏者。自由黒人(北部の州では奴隷でない黒人もいた)の身で、幸せな家庭を築いていた。演奏旅行の途中、奴隷商人に拉致され、奴隷として売られてしまう。その値段1000ドル。現在価値に換算するとどのぐらいになるのかさっぱりわからないけれど、借金をしてノーサップを買った農場主はその返済ができずに彼を転売することになるからかなりの価値があったものと思われる。

 奴隷は転売可能なモノである。綿花が寄生虫で不作になれば、そこで働く奴隷は不要となり、売られることになる。ノーサップは、森林伐採、綿花の摘みとり、サトウキビ刈などの労働をこなす。

所有者であるご主人様もさまざまで、ノーサップを好もしく思う者もいれば苛酷な仕打ちをする者もいる。敬虔なキリスト教徒であったり黒人女性を愛人にしていたりする。このあたりがおもしろい。映画としての深みを感じさせる。脚本がしっかりしている。

ノーサップは、奴隷として屈辱に耐えながらそれなりの知恵を発揮して生き抜いていく。バイオリンを弾けることも役立つ。その抜け目のなさが時として仇になることもあるが、無筆を装い、脱出の機会をねらう。奴隷の身になっていることを家族に知らせようと手紙を託そうとする。しかし、うまくいかない。

 十二年間、奴隷の扱いを受けるわけだが、どのようにそこから脱出できたかは映画を観てのお楽しみである。

 この手の物語は、過剰な感動を呼ぶような映画になりやすいが、そこは適度な抑制を効かせている。音楽も静かである。だからゴスペル「ヨルダン川」を歌うシーンが感動的に響く。

 ブラット・ピットがちょい役で登場する。ちょい役だが、儲け役である。

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