桂雀々独演会 枝雀のDNA
立川志らくが、金を払って噺を聴こうという落語家は柳亭市馬と桂雀々の二人しかいないと書いている。(『志らく百点』)
私は、志らくほどハードルは高くないので、金を払って聴きたい落語家十人ほどを挙げることできるのだが、当然、この二人は入っている。
雀々の独演会。昨夜、国立演芸場まで出かけてきた。ゲストは柳家権太楼。この人も十人の中に入っている。
冒頭に二人のトークがあった。4月19日は雀々の師匠である桂枝雀の命日。ということで、今回は、枝雀が得意とした演目から選んだと語っていた。
演目を紹介しておく。
幽霊の辻 権太楼
宿替え 雀々
戻り井戸 雀々
「幽霊の辻」はユウレンと発音する。枝雀のテープで憶えたそうだ。マクラなしで本筋に入り、あっという間に終えた。この続きはまたの機会にと下がったのは、このあとも別席で「子別れ」を演るからだそうだ。昼間に一席やっているので、トリプルヘッダーだ。タフだね。 「
「宿替え」はこちらだと「粗忽の釘」になる。宿替えのタイトルどおり、雀々は引っ越しの場面をたっぷり演じた。なんともおかしい。枝雀のDNAをもっとも引き継いでいるのが雀々であるが、しぐさやことば遣いにそれが感じられる。だからといってコピーではない。雀々の芸になっている。
「戻り井戸」は、なぜか井戸の中にいた男が助けられる。家に運ばれ酒を振る舞われるうちにすっかり酔っ払い、ふたたび井戸に戻されてしまうという噺。酒に酔い。最初は遠慮がちに呑んでいるが、しだいに酔っ払い、悪態をついていく場面は落語ではおなじみである。これもその一つ。
そんなことで、雀々ワールド、爆笑系落語をたっぷり楽しませてもらった。
ついでのひとこと
当ブログで、以前、この6月で小三治が落語協会の会長を辞任すると書いた。で、次期会長は順当なら市馬あたりかと予測した。そのとおり市馬が内定した。落語のうまさ、人望は申しどころない。五二歳とまだ若い。長期政権となるだろう。落語界の顔として頑張ってもらいたい。
« 「鑑定士と顔のない依頼人」 C-3PO | トップページ | 鍼医堀田と魔法の杖 »
「落語」カテゴリの記事
- 生田寄席 文菊(2024.09.05)
- 喬太郎・白酒・一之輔三人会(2024.08.30)
- 「国本武春の丹波浪曲道中記」(2024.07.29)
- 鶴川寄席 扇辰・兼好二人会(2024.07.21)
- 「八起寄席」 小間物屋政談(2024.07.17)
コメント