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2014年5月27日 (火)

PC遠隔操作事件 冤罪の誕生

 

 世間を騒がせたPC遠隔操作事件について、関与を否認していた片山容疑者は一転して事件への関与を認めた。保釈後の携帯電話からのメールが墓穴を掘ることになった。

 片山被告についてはさして関心はない。サイコパスだの云々はマスコミに任せる。問題は、この事件で誤認逮捕者がでて、しかも二件は自供までさせられていることである。まさに冤罪そのもの。いったいなぜ自供してしまったのか。

 いまどき拷問はあるまい。威圧するとしても紳士的に尋問するはずである。それなのになぜウソを自供してしまうのか。もし自分がその立場ならやはり自供してしまうのか。そのあたりを調べてみた。一年半ほど前の情報になるが・・・。

 

 神奈川県警所轄の事件では少年が逮捕された。インターネットのアクセス記録とIPアドレスが一致していたという事実を過信して、その他の疑惑(犯人ではないという証拠)を軽視あるいは無視して捜査を進めた。少年に少年院に入るのではないかと不安を与えたり、犯行を具体的に説明するよう求めたりした。県警は尋問が不適切であったことを認めたが、誘導尋問ではないとしている。それこそ誘導尋問そのものじゃないかと思うのだが、それはともかくとして、少年はやってもいない犯行を自供してしまった。

 福岡県警の事件では、容疑者は取り調べの過程で容疑を認めた。罪を認めたのは同じパソコンを使っていた同居女性の犯行と思いこみ、これを庇うために自供したらしい。

大阪府警の事件では容疑者は自供しなかったが、実名で犯行予告をするなどありえないことだが、その不自然さを全く考慮せず、捜査を進めた。

 

 取り調べ側にすれば、犯人としての要件が整っていることが重要であって、極論すれば真犯人かどうかはどうでもよく、証拠、自供などの犯行を裏付けるものがきちんとしていることに目がいってしまう。そうでなければ公判は維持できないので、瑕疵のないストーリーを組み立てようとする。それは間違っていないのだが、落とし穴もある。犯人とするには疑わしい証拠は無視してしまう恐れがある。真相はともかくとして、犯人であるということが証明できる証拠集めをすることが優先されてしまうのだ。

証拠集めのために、誘導尋問、精神的拷問、取引が介在することになる。取引とは、自供しなければ長く勾留するとか、自供すれば刑が軽くなるなどとの条件提示である。どの冤罪事件だったか忘れたが、警察の取り調べで「裁判で否認すればいい。取り調べの調書にはサインをしておいて頂戴。長引くのは嫌でしょ」などとの誘導もあった。

 

 誤認逮捕であることがわかり、捜査や取り調べが不適切であったと警察は謝っているが、はたしてその反省が今後に生かされるとは限らない。

で、我々一般人はどうしたらいいか。誤認逮捕された時の対応といっても、さしたる方策はない。尋問内容をきちんと記憶し、記録に残しておくことだが、限度がある。ま、てっとり早いのは、佐藤弁護士を依頼するぐらいか。

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