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2014年6月12日 (木)

 萬橘馬るこ プラスワン 今回は一之輔

  

 成城ホールで開催されてきた「新にっぽんの話芸」、こしら・一之輔の二人会が、一之輔が抜けることで、立川こしら・三遊亭萬橘・鈴々舎馬るこの三人会となり、さらにこしらが抜けて、萬橘・馬るこ、もうひとりゲストを迎えての三人会となった。会場も北沢タウンホールに変わった。

題して「広瀬和生の依怙贔屓三人会」。ゲストは、プロデューサーである広瀬和生さんが勝手な好みで決めるということで、第一回は春風亭一之輔となった。順当というか、ピカピカの人選である。一之輔は若手真打では人気も実力もナンバーワンである。

 冒頭に、全員でのトークがあった。今回から開口一番もあり、前座の三遊亭こうもりも登場した。いじられ役は当然こうもり。こうもりはこの秋に二つ目になる。名前も改め三遊亭とむ(本名が斗夢だから)。昇進披露は朝日ホール(マリオン)でやる。真打昇進ならともかく、おいおい大丈夫かよというほどの大ホールである。それもいじられていた。

 さて、今回の演目。

 三遊亭こうもり  都々逸親子

 鈴々舎馬るこ   野ざらし

 春風亭一之輔   子は鎹(子別れ 下)

 三遊亭萬橘    大工調べ

 

 馬るこは芸風は、毒気を含んだプチ・ギャグをふんだんに盛り込むのが特徴。今回もさらりと悪口を入れて笑いをとった。

「野ざらし」は、釣りの場面で終わることが多い。本来はその続きがある。馬るこは最後までやった。この噺、オチがいまひとつわからないし、おもしろくもない。前半で終わらせる理由はオチがおもしろくないからだと思う。オチは「馬の骨」となるのだが、それは変えず、そこまでのプロセスに工夫を凝らして、わかりやすいオチにした。さすが馬るこである。

こう書いてはみたものの、この噺を聴いていない人にはさっぱりわからないだろうなアと心配になる。なに、心配することもないか。馬るこは勉強熱心だと言いたいだけのことである。

 

 一之輔は、噺家には離婚が多いというマクラから「子は鎹」に入った。この噺、離婚後の物語だから納得できる。テンポはいつもより緩やかだった。この演目は「初天神」のようににぎやかにはいかない。それでも、息子の亀のツッコミは鋭かった。

 

 トリの萬橘。これがよかった。マクラで、一之輔の出番が終わったので帰った人がいる、しっかり覚えておくと笑わせる。帰った人はいなかったように思うけど。

「大工調べ」は与太郎が店賃を溜め、大家さんに大工道具をもっていかれてしまう噺である。棟梁は与太郎に、引き出してこいと、溜めた一両二分八百文のうち一両二分を渡す。大家さんは、与太郎の返却態度に腹を立て、八百文足りないと返してくれない。そこで棟梁が掛け合いにいくのだが、交渉決裂、ついには裁判沙汰になってしまう。もっとも最近は前半だけで、後半の奉行所での裁定場面まではやらないことが多い。やらないと、大工調べというタイトルの意味がわからなくなってしまうのだが、まあ、いたしかたない。

 この噺の面白さは、与太郎のボケぶりである。萬橘はこれが上手い。もうひとつ、棟梁が大家に向かっての啖呵がある。これを早口でまくしたてるのがハイライトである。萬橘もまくしたてるのだが舌が回らない。意味もよくわからない。きょうは調子がわるかったともいえるのだが、これが逆におかしかった。立て板に水、滑舌よくまくしたてるのではなく、ろれつが回らない啖呵も芸風としてありだなと感じた。

萬橘のフラである。ほかの人がやってもこうは受けない。

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