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2014年6月21日 (土)

 スイスという生きかた

  

 皇太子さまがスイスを訪問された。日本との国交樹立150周年の記念行事に出席するためである。150年前とはずいぶん昔、まだ幕末のことである。

 国際ニュースとしてスイスが採りあげられることは極めて少ない。ウクライナやイラクとは違う。せんだって興味深いニュースを見つけた。

最低賃金を時給2500円にするという案をスイスは国民投票で否決したという記事である。

 ふーん、2500円か、高え! 日本は県別に最低賃金の目安が決められているが、1000円もしない。高い東京でも869円である。

 スイスの多くの人は2500円以上の時給を稼いでいるから別に最低賃金など決めなくてもいい、決められてはそちらに引きずられるかもしれない、だから反対に回ったというのが真相らしい。実態はそれ以上なのだ。

 スイスは時給も高いが物価も高い。朝食でも日本の倍ぐらいすると旅行者が語っていた。だから時給が高くても当たり前なのかもしれない。

日本で、スイスの物価の高さを感じるのはチーズである。エメンタール(スイスを代表する孔のあいたチーズ)やグリエールは他の国のチーズよりも高い。

 平均的な家庭の年収は900万円ぐらいという。金持ち国である。只同然の水力発電はある。精密機械、金融のほか、観光立国でもある。それでお金を稼いでいる。

 

 スイスは変わった国で、ご存じのように孤高を誇りとしている。ユーロにも加盟していない。通貨もスイスフランである。

 永世中立国を国是としているが、強力な軍隊を擁している。徴兵制を敷いている。だけども集団的自衛権などという議論はいっさいない。他国とはつるまない。

平和ボケしているわけではない。たいていの家には核シェルターがある。以前は核シェルターを作ることが義務づけられていたそうだ。そのぐらい備えはしっかりしている。

 その孤高を皮肉って「スイスの五百年の平和は鳩時計を生んだだけじゃないか」という有名なことばがある。映画「第三の男」の中のハリー・ライムのセリフである。どの程度、正鵠を射ているかどうかはわからないが、ま、やっかみだろうな。

 

そうだそうだ、物価が高いということで、あの小咄を思い出した。以前にも紹介したことがある。

 スイスでアルプスに登るには入山料がいる。日本円に換算すると9800円ぐらい。約一万円である。富士山の入山料は1000円だから、ずいぶん高い。

 しかしこの金額、妥当という。だって、「アルプス一万弱(一万尺)」というではないか。

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