この落語家を聴け! 今回は、桃月庵白酒
開口一番は林家けい木。初めて聴いた。オレオレ詐欺の話で、息子を名乗る男からの電話だったが、あれこれの後、その息子と電話することになった。つまり当人同士の会話となる。あれ、ひょっとすると、「粗忽長屋」? と思っていたら、そのとおりであった。
粗忽長屋のオチは、抱かれているのは確かに俺だが、抱いている俺は一体誰だろう?
古典の改作とはいえ、ほとんど創作である。なかなかの出来で、面白かった。
あとで、演目を見てみると「新・粗忽長屋」となっていた。うーん。このタイトルはいただけない。単純に「オレオレ詐欺」でいいんじゃないかな。粗忽長屋とするとオチがわかってしまうから。
白酒は「不動坊」と「死神」の二席。夏は怪談物が多く掛かる。「不動坊」は怪談ではないけれど、偽物の幽霊が出てくる滑稽噺。美人の未亡人と結婚したのをねたんでおどかしてやろうという話である。「四十九日も過ぎぬのに、結婚するとはうらやましい。いや、うらめしい」というセリフが入る。
耳かき一杯ほどの毒(悪口)を仕込んで、これをまき散らすのが白酒の芸風である。もちろん古典の本筋はきちんとおさえている。これは師匠、五街道雲助ゆずり。お滝さんと結婚できるのを喜んで妄想の世界に入っていく男の描写がおもしろい。
「死神」は、ふつうは杖をついたよぼよぼの爺さんスタイルであるが、白酒の死神は太っているという設定。当人同様である。死神の呪文は演者によって違うが、今回は「アジャラカモクレン、小三治師匠、人間国宝おめでとうございます」。ま、時事ネタである。
最後にローソクが消えるところがオチになるが、これも演者によって異なる。くしゃみで消えるのは小三治風だが、くしゃみをしようとすると横を向いてしまうので火は消えない。フェイント。観客の予想をそらして笑いをとる。で、最後は志の輔風のオチとなる。
と、書くと、この噺を知らない人には何のことだかさっぱりわからないだろう。いちいち説明するのは面倒なので、しない。古典噺でもオチにはいくつものバリエーションがあるということである。
10月に白酒と師匠・雲助との親子会が成城ホールで企画されている。聴きに行こう。
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