昇太 笑いの量では負けたくない
「この落語家を聴け!」シリーズ、今回はおなじみの春風亭昇太である。チケットは早々と完売となっていた。
昇太といえば、「愛犬チャッピー」である、と私は思っている。初めて聴いたとき、げらげら笑ってしまった。可笑しかった。チャッピー抜きの昇太は考えられないのだが、最近は聴かない。演じていないのか、こちらが聴くチャンスを逸しているのかわからないけれど、もう一度、聴いてみたい。そのぐらい面白いネタである。
さて、開口一番は誰だろうと思っていたら、昇太自身だった。出囃子はデイビー・クロケットではなかった(昇太の出囃子はデイビー・クロケット。ウエスタンというかアメリカ民謡。日本の曲ではない)。軽いサプライズ。これだけで笑いが起きた。前座らしい口調で始まった。
今回の演目。
牛ほめ
空に願いを
宿屋の仇討
「空に願いを」は昇太のオリジナル。足が遅いのにリレーのアンカーに選ばれてしまった少年が運動会当日は雨になるように願う話である。おじいちゃんは代々雨乞いを司っていた雨宮家の末裔。おじいちゃんと一緒に雨乞いをする。この雨乞いの祈りのしぐさが大げさで可笑しい。このしぐさがランニングの腕の振りに似ている。実際に見ないとダメ。ことばや音声だけでは可笑しさは伝わらない。
「宿屋の仇討」はおなじみの古典ネタ。たしか、昇太の大師匠である柳橋が得意としたはず。じっくりたっぷり笑いの花を振り撒いた。もちろん会場は大爆笑だった。
最後は広瀬和生さんとのトーク。落語が低迷し、漫才が全盛期の頃のことが話題となった。昇太が前座・二つ目だった時期である。笑いの量では誰にも負けたくなかったというのが当時の気持ちで、いまもそう思っているという。なるほど、そうだろうな。
ひょうきんさ、軽さが昇太の持ち味。もっと歳をとり、高齢になったときのほうがおもしろくなる、そんな予感がすると自分自身を語っていた。これもわかる。師匠の柳昇は高齢になって人気が出たのを思い出す。
古典だろうが新作だろうがどっちでもいい。これからも笑わせてほしい。チャッピーも聴きたい。
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