『ジャーナリズムの現場から』 ノンフィクションのガイドブック
軽く読める新書(講談社)を一冊。ジャーナリストである大鹿靖明氏が同業の気鋭のノンフィクションライターをインタビューしたものである。
組織にいながら、あるいは組織を離れて、斬新かつ魅力的なノンフィクションをものにしてきたライターがいる。その中から十人を選んで、取材動機や取材方法をまとめている。ノンフィクションはいくつも読んできたつもり(主として政界官界の内幕もの)だったが、意外に読んでいないのに気づかされた。その十人とその代表作を紹介しておく。本書の目次のようなものだ。
角幡唯介・・・・『空白の五マイル』
高橋篤史・・・・『凋落 木村剛と大島健伸』
長谷川幸洋・・・『官僚との死闘七〇〇日』
安田浩一・・・・『ネットと愛国』
大治朋子・・・・『勝てないアメリカ』
坂上遼・・・・・『無念は力 伝説のルポライター児玉隆也の38年』
杉山春・・・・・『ネグレクト 育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか』
栗原俊雄・・・・『シベリア抑留 未完の悲劇』
大塚将司・・・・『日経新聞の黒い霧』
堀川惠子・・・・『永山則夫 封印された鑑定記録』
いずれも新聞では深く探られなくなったテーマ(歴史に埋もれたもの、隠蔽されてきたもの、事件の背景にあるもの)を掘り起し、信念をもって取材している。企画する意欲(これをやりたいというアピール)が重要なんだということも伝わってくる。
多くは読んでいない。我ながらちょっと不甲斐ない。その分、この人たちの著作には関心がわく。とりわけ女性の作品、杉山春さんと堀川惠子さんの著作がおもしろそう。大治朋子さんの本も読まなくては・・・。
『ジャーナリズムの現場から』は若いジャーナリスト向きではあるけれど、誰が読んでも面白いと思う。これら気鋭のライターの著作を読みたくなるはずだ。
さっそく堀川惠子の『永山則夫』を読んでみよう。
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