2033年問題 どうでもいいけれど。
きょうは重陽の節句。菊の花を浮かべて酒を酌み交わすという風流な風習があった。本来は旧暦の、菊の季節の行事だから、いまではピンとこない。
菊つながりで、今朝の新聞は「昭和天皇実録」で多くの紙面を割いている。一斉解禁のはずだが、マスコミはその内容をしっかり載せ、識者のしたり顔のコメントを紹介している。おまえらフライング・ゲットじゃないか。
といったことはさておき、日経新聞の文化欄(最終ページ)に、暦の記事が載っていた。2033年問題についてふれていた。
2033年問題というのは、旧来の旧暦概念だとカレンダーの決め方に混乱が生じてしまうという問題で、かねてより議論されていた。コンピュータの2000年問題があったが、あれと比べりゃ深刻ではない。ふつうの暮らしに何ら支障はない。ではあるけれど、興味深い。
ちょいと説明する。月の満ち欠けの周期はおよそ29.5日。これを12ヶ月にすると、一年には11日ばかり足りない。そこで三年の一回ほど閏月を設けて(一年を13ヶ月にして)、太陽暦の一年にあわせるようにしている。旧暦は、陰暦ではなく大陰太陽暦であって、太陽の動きと連動するようにしている。
どの月を閏月とするかは法則がある。一年を春分秋分夏至冬至を基準として二十四節句(12の節気と12の中気。中気は、雨水・春分・穀雨・小満・夏至・大暑・処暑・秋分・霜降・小雪・冬至・大寒)を決める。二十四節句のそれぞれの間隔に差があるのはケプラーの法則を思い出していただきたい。細かなことは面倒なので勝愛。
中気は各月に割り振られるのだが、春分を含む月を2月、秋分を含む月を8月、夏至を含む月を5月、冬至を含む月を11月としておく(念のために言っておくと、各月の始まりは朔、新月である)。そうすると、中気のない月が発生することがある。それを閏月とするのが原則となる。
具体的に言うとわかりやすい。今年2014年は、10月24日の月に中気が入らない。9月には霜降が入る、で、10月を閏9月とし、小雪の入る11月22日の月を10月とする。
これで問題はないのだが、このルールだと、2033年は中気の入る月が2つ、中気の入らない月が3つも生じてしまうことになる(のだそうだ)。先に述べた「春分を含む月を2月、秋分を含む月を8月、夏至を含む月を5月、冬至を含む月を11月」と整合性が採れなくなってしまう。これまでそんなことがあったかというと、天保歴の採用以来初めてとなる。で、どうすべえ、いうのが2033年問題である。
日経の記事では六曜がどうなるかを気にしていた。六曜は、先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口の順で繰り返すが、旧暦1月と7月は先勝から始まり、2月と8月は友引から始まるよう順繰りに割り当てられているので、月が決まらないと六曜も決まらないことになる。
しかし結論からすれば、六曜などはどうでもよい。あれは幕末から流行ったルールなのだが、歴史的に根拠があるものでもない。友引には葬式をしない、火葬場は休みというルールも崩れかけている。結婚式だからといって大安を選ぶとは限らなくなっている。
2033年問題などというものもたいした問題ではない。そうではあるけれど、騒いだりするのは面白いし、旧暦のルールも興味深いものがある。旧暦は月の満ち欠けと連動しているところがよい。
2033年問題、アナタはどう思います? そんなの興味ないって?
そうだね、アナタはたぶん生きていないから。
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