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2014年10月10日 (金)

「蜩ノ記」 静謐を絵にかいたような映画

 

「柘榴坂の仇討」からあまり日をおかずの時代劇。原作は葉室麟の同名の小説だが、未読である。

 刃傷沙汰を起した壇野庄三郎(岡田准一)は、七年前の事件で蟄居させられている戸田秋谷(役所広司)の監視役を命じられる。秋谷は十年後に切腹することが決められており、その時までに家譜の編纂をすることになっている。庄三郎は家老から、秋谷が七年前の事件をどう家譜に記すかを調べよ、切腹前に逃亡するようなことがあれば切り捨てよとの密命を受けている。

 庄三郎は秋谷家族と暮らすうちに、秋谷の誠実で凛とした態度に惹かれていく。主君の側室と密通したということであるが、到底信じられない。そして、七年前の事件の真相を探っていくことになる。

 秋谷も、その妻(原田美枝子)も娘(堀北真希)も、清廉を絵にかいたような人物で、それはそれでいいのだが、歯がゆくもある。ま、映画だからね思いつつも、映画にのめり込めないのはこちらの臍が曲がっているせいか。

この映画に込められたメッセージは、清廉に生きよということだろう。恐れ入ります、そのとおりですねと答えるしかないのだけれど、じょうだんじゃない、やってられないよと、刀のひとつも振り回したくなってしまうような映画のほうが好みである。いや、こういう映画も嫌いではないのだが・・・。

ということで、静謐があふれる映画です。事件の真相は最後で明らかにされる。

 

特筆すべきは音楽。作曲・ピアノは加古隆。ほら、だいたいイメージできるでしょ。

 

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