立川談四楼 この落語家を聴け!
立川流の重鎮・談四楼の会に行ってきた。
この人、「落語もできる作家」と言われている。口も筆も立つ才人である。当ブログでも紹介したことがあるが、近著に『談志が死んだ』がある。
今回の演目は、広瀬プロデューサーから師匠・談志ゆかりの噺をという要請があり、それに応えた二席である。
人情八百屋
鼠穴
「人情八百屋」は、講談の演目を談志が落語に仕立てたもので、前座時代に談志から丁寧に教わった思い出の演目だそうだ。
野菜売りの平助が長屋の貧乏な子にお金を与えるという人情噺。ちょっと「唐茄子屋政談」と似ている。こういうのも談志は得意とした。今では、志らくも談春もやっている。
談四楼ぐらいになると、この手の噺はうまい。
「鼠穴」は、まだ談志に弟子入りするまえ、高校二年の時に聴いた思い出の噺だそうだ。いっぺんに談志ワールドに引き込まれたそうだ。
この「鼠穴」がよかった。談志のように、きちんと演じた。ただしオチの部分だけは変えていた。途中から夢の中のはなしになるが、ふつうオチは「夢は土蔵(五臓)の疲れ」となるが、わかりづらい。そこを、ネコを登場させることで、だれでもわかるように工夫を凝らしている。
中入り前、二席の間に、広瀬和生さんとの対談がある。談志にまつわる話が中心となる。
談春の『赤めだか』を書評で褒めたところ、談志から激怒の電話がきて、破門を言い渡されたというエピソード。このあたりは『談志が死んだ』に詳しく書かれている。どう考えても理不尽な怒りであった。理由がわからないが、師匠だから頭を下げるしかない。たぶん『赤めだか』が売れたので嫉妬したのではないか。さらに病弱となり、それに伴う老人性うつ病の症状がそう言わせたのだろうと分析している。とにかく晩年の言動は、理不尽、不可解なことが多かったという。
ところで、談志は練馬に居を構えていたが、その家に志らくが住むことになったそうだ。ふーん。ますます談志のDNAを引き継ごうというわけか。
落語の資料やテープも残されており、その整理もある。といったことは、今週末に開催される「談志まつり」で披露されることになる。
ついでのひとこと
開口一番は林家けい木だった。けい木は立川流ではなく、木久扇の弟子。演目は「グツグツ」。以前紹介したことがあると思うが、けい木の創作落語。得意ネタである。おでんを擬人化した噺で、グツグツはおでんがゆだっている音のこと。おもしろい噺だが、何度も聴くと飽きる。時事ネタとか即興ネタも入れたらどうか。たとえば健さんが亡くなって話題になっているのだから、無口なガンモドキを登場させ「不器用ですから」と言わせるとか。
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『ぐつぐつ』は柳家小ゑん師匠の作です。円丈師も掛けています。
https://www.radiodays.jp/item/show/300005
投稿: 4k | 2014年11月25日 (火) 15時53分
4Kさん
そうだったんですか。知りませんでした。ありがとうございました。
投稿: 放心 | 2014年11月25日 (火) 21時14分