「ゴーン・ガール」 くせものフィンチャー
ベン・アフレック主演。監督はベンではなく、デヴィット・フィンチャー。くせものである。二転三転、あっと驚くような内容になっているのではないかとワクワクする。
ニック(ベン)の妻・エイミー(ロザムンド・パイク)が突然いなくなる。警察は捜索に乗り出すが、ニックの犯行を疑うようになる。台所には血痕を拭き取ったような形跡があった。
ニックはマスコミにも登場し、行方不明の妻の捜索を願い出る。捜索と並行して、エイミーの日記が挿入される。このあたり展開が目まぐるしくて、どうなっているのかよくわからない。日記はニックの言動を疑うような内容で、実際、浮気をしていたことが明らかになる。妻を殺害したのではないかという疑いはさらに深まっていく。
ここまでがけっこう長い。で、どうなるか。エイミーは生きていた。殺されてはいなかった。ま、ここまでは書いてもネタバレにはならないだろう。失踪はエイミーの自作自演だった。ニックのふしだらで不誠実な態度に嫌気をさしていたことへの復讐だった。入念に、ニックを犯人に仕立てるように仕組んでいた。
このあとがおもしろい。意外な展開をみせる。どんでん返し。これは観てのお楽しみ。デヴィット・フィンチャーらしい展開である。
エイミーは悪女である。ファム・ファタール(運命の女)である。こみいったセリフや展開もあって、一度観ただけでは、わからないところもある。それも含めてフィンチャーらしい映画である。
カルト映画(一部の熱狂的ファンに支えられる映画)になるんじゃないだろうか。ファム・ファタールものの傑作である。
であるけれど、残酷なシーンが苦手な女性にはお薦めしません。
ということで、女は恐ろしい。筧なにがしの姿がちらり浮かんだ。
ついでのひとこと
こぼればなしをひとつ。ニューヨークでベンが野球帽をかぶるシーンがある。用意されたのはヤンキースの帽子だったが、ベンは熱烈なボストン・レッドソックスファンだからこれを拒否した。監督は譲らない。ベンも譲らない。で、協議の結果、ニューヨークを拠点とするメッツの帽子にすることで妥協が成立したという。
確かにメッツの帽子をかぶっていた。たわいもないエピソードだが、ホンマかいな。ベンはボストンファンからあれこれ言われるのを恐れたのだろうな。
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