「バンクーバーの朝日」
戦前、カナダのバンクーバーには日系人のアマチュア野球チーム(チーム名が朝日)があった。その活躍を描いた映画である。
日本で職業野球ができたとか支那事変が始まったとかいうセリフから察すると、今から80年ほど前のことである。
体力ではカナダ人にかなわない。連戦連敗であったが、バント作戦を思いつく。バントと盗塁の頭脳プレーが功を奏し、試合に勝ち、以後、勝ち続ける。ついにはリーグ優勝をねらうところまでいく。差別的な反日感情の中、彼らのフェアプレーは賞賛をあび、人気を勝ち取っていく。しかし、彼らの栄光は長くは続かなかった。
感動の物語なのだが、いまひとつ心は動かない。前半はちょっともたもたするし、取り巻きの連中や家族も類型的である。野球のシーンは、俯瞰するようなシーンが少ない。アップやバストショットが多く、迫力あるゲームシーンとはなっていない。テレビ中継の進歩で、われわれの目が肥えてしまっているからかもしれない。予算や撮影日程の制約もあるしね。
よかったのは、彼らの住む日本人街のセット。ここには金をかけている。当時の雰囲気をかもしだしていて(見たわけじゃないけど)、印象的である。
上地クンのキャッチャーぶりが堂々としている。ま、これは本職ともいえる。妻夫木クンの演技はいつもながら好感がもてる。ピッチャーの亀梨クンは陰鬱なキャラクターで、なんとなく窮屈そう。
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