鹿芝居 ことしは「井戸の茶碗」
国立演芸場、二月の中席は「鹿芝居」である。
昨年は「切られ与三郎」だった。ことしはポピュラーな古典噺の「井戸の茶碗」。屑屋の清兵衛さんが浪人から買った仏像を細川藩の武士に売ったところ、仏像の中から五十両が出てきて、それが騒動の発端となるという人情噺である。
前半は落語。開口一番は三遊亭わん丈だった。演目は「無精床」。このところ、わん丈の高座をしばしば聴く。前座だが、実力を感じさせる。
そのあと、金原亭馬治が「子ほめ」、蝶花楼馬楽が「長屋の花見」。続いては、金原亭世之介、古今亭菊春によるマジック。菊治は日本エレキテル連合の扮装で登場した。ちょっとネタが古いけど、逆に遅れているところがおもしろい。コミカルに演じた後は、獅子舞ではなくて、その前に、林家正雀の「紙入れ」と、金原亭馬生の「辰巳の辻占」。このあたりは手慣れたものである。で、前半の最後に獅子舞。
中入り後が鹿芝居。先述したように「井戸の茶碗」だが、すこしアレンジしているのでタイトルは「人情裏長屋~井戸の茶碗~」となっている。「粗忽の釘」「うどん屋」のエピソードを加えている。細川の殿様が登場しないかわりに、家主が目利き役(鑑定士)で登場する。
主な配役はつぎのとおり。
屑屋清兵衛・・・林家正雀。浪人千代田卜斎・・・金原亭馬生。細川藩藩士高木佐久左衛門・・・金原亭世之介。家主・・・蝶花楼馬楽。
あとは、卜斎の娘役に林家彦丸。けっこう色っぽい。中間の良助に古今亭菊春。セリフが少ないと言ってしゃしゃり出てくるのが面白かった。
家主が茶碗を鑑定する。ということから、「なんでも鑑定団」スタイルのコントとなる。わかりやすい展開である。たわいもない、ゆるい喜劇。そのゆるさがこの鹿芝居の本領である。
最後に手ぬぐい投げと三本締め。昨年は、運よく馬生さんの手ぬぐいをゲットした。今年も、どういうわけか、小物をいただいた。縁起がいい。なかを開けると小さな達磨(高さ4センチほど)だった。片目をいれて、机の前に飾っておこう。
« 日本映画大学 卒業制作発表会 | トップページ | 時を置いて »
「落語」カテゴリの記事
- 正蔵・喬太郎二人会(2024.12.16)
- 「八起寄席」(2024.11.20)
- 競馬好き芸人の会(2024.11.18)
- 生田寄席 今回は桂文治(2024.11.08)
- 遊雀・萬橘二人会(2024.10.21)
コメント