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2015年3月10日 (火)

禿げた筆

 

 定期的に歯科医に通っている。治療ではなく、歯のクリーニング、歯石をとってもらっている。

 丁寧に磨いているようでも磨き残しはある。そこにたまった歯垢が歯石になる。とくに奥歯(親知らず)の周辺はなかなかうまく磨けないので、歯石がつきやすい。

 以前、医師から筆先のようなブラシで磨くよう勧められた。ブラシの部分が小さく、ピンポイントで磨ける。奥歯の裏側まで磨ける。歯と歯の間がよく磨けるような気がする。

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 私の場合、歯石のたまりやすい場所に下前歯の裏側がある。ここは唾液腺があり、けっこう歯垢がたまりやすい。ふつうの歯ブラシで磨いても、うまく歯垢がとれていないようだ。筆歯ブラシで磨くようにしたら、歯石が付くことはなくなった。すぐれものである。

 けっこう長持ちするが、この歯ブラシも筆先が広がり、丸くなってくる。これでお役御免、あたらしい歯ブラシに取り替えることになる。

 

  筆は使い込むと、筆先(穂先)の毛が抜ける。書がうまく書けなくなる。この筆を禿筆という。ハゲである。禿げたわけではなく、毛先がすり減って、丸くなっただけだけど、禿という漢字を用いる。てっぺんあたりがやや薄くなっただけだが、ハゲである。ちょっとかわいそうな気もするが、うまく書けなくなるならば、そう呼ばれても致し方ないか。

 ならば、丸くなった歯ブラシは禿歯ブラシである。これも禿筆ということになるか。

 一般に、禿筆は自分の書を表す謙譲表現としても使われる。拙文、拙著などの拙と同様である。『三省堂国語辞典』で拙を引くと、用例に「拙ブログ」がある。ほほう、いまどきの表現である。

 

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