市馬のトリネタは?
昨日、国立演芸場、6月上席に行ってきた。トリ(主任)は柳亭市馬。
5日の日経新聞(夕刊)で、この上席初日にやった市馬の「笠碁」を評論家の京須さんがずいぶんほめていた。「笠碁」はご存じのように柳家小さんの得意ネタである。それを弟子の市馬がやる。 市馬の「笠碁」は聴いたことがない。聴いてみたい。だけど、この上席で同じネタをやるとは限らない。それは当日のお楽しみである。
今回の演者、ベテラン揃いである。柳家一九(がまの油)、桂南喬(つづら泥)、柳家小のぶ(粗忽長屋)。その前に春風亭百栄が「強情灸」をやったのだが、百栄がかすんで見える。
柳家一九がマクラで「キャベツの中から」をやった。保育園でのお遊戯歌である。以前にも聴いたことがある。キャベツーの中かーら アオムシでたよ、と指の振り付けで歌う。これをいい歳をした噺家がやると、妙に可笑しい。
南喬の「つづら泥」がよかった。粗忽者の与太郎が登場する。この手の噺は南喬の得意とするところである。
柳家小のぶ。めったに見かけない、落語界の絶滅希少種のような存在。風貌に似合わず大きな声、大げさな身振りで「粗忽長屋」を演じた。昨年、小のぶを聴いたとき、失礼ながら来年はみられないだろうなと思ったのだが、今年も聴けた。元気で何より、である。
トリ前の漫才は、昭和こいるとあした順子。ともに相方が入院中。このところ、元気な者同士でコンビを組んでいる。にわかコンビであるけれど、掛け合いは息があっている。即席コンビとはおもえないほど。ベテランになるとこのていどの掛け合いは朝飯前ということか。愉快な漫才だった。
トリの市馬、演目は「笠碁」ではなく「船徳」だった。オーソドックスに、真正面から演じた。奇をてらわず、それでいて聴かせる。伸びやかで艶のある声がなんとも心地よい。名人芸である。
ついでのひとこと
「東京かわら版」をパラパラめくっていたら、あしたひろしが今日(6/10)誕生日と出ていた。93歳。いい歳である。長寿はめでたい。しかし、復帰は無理だろうな。
« あれから二十年 ユーゴ内戦 | トップページ | 『キャパへの追走』 キャパの足跡をたどる旅 »
「落語」カテゴリの記事
- 生田寄席 文菊(2024.09.05)
- 喬太郎・白酒・一之輔三人会(2024.08.30)
- 「国本武春の丹波浪曲道中記」(2024.07.29)
- 鶴川寄席 扇辰・兼好二人会(2024.07.21)
- 「八起寄席」 小間物屋政談(2024.07.17)
コメント