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2015年7月19日 (日)

松元ヒロ 「街の灯」を演じる。

  

 松元ヒロという芸人をご存じだろうか。テレビには出ないので、ご存じない方も多いと思う。しゃべくりピン芸人である。

昨夜、鶴川のポプリホールで、そのライブがあった。

テレビには出ないと書いたが、当人は出る気満々である。しかしテレビ局の方で敬遠している。時事ネタが多い。公正がタテマエのテレビ局としては余計な神経はつかいたくないから、政府批判につながるようなお笑い芸人は避けたいという思いがある。安保法制、新国立競技場、沖縄問題など政治的な話題であふれているから、なおさら神経をとがらせている。

たかがお笑い芸人のツッコミぐらいどうってことはないのだけど、そうもいかないらしい。

松元ヒロは左側の代表で、もちろん右側の芸人もいて、テレビには出られない。左右の代表同士がライブでしゃべくりをやったら面白いが、それはまた別の話である。

で、今回のライブ。熱っぽく、大きな声でしゃべるが、どことなくオドオドしたところがある。客席の反応を確かめながら、次第に観客を巻き込んでいくのがヒロスタイル。パントマイムを交えての話芸である。

全体としては四部構成のようだったと思うが、確かではない。最初は時事ネタ。これは分かりやすい。ギャグとしてもありきたりでたいしたことはない。ところがその程度でも受ける。そうだ! と声をあげたり、そうそうとやたら相槌を打つオバチャンが後ろの座席にいた。気が散る。静かに聴けよ! と言いたかったが・・・。

その次が、笠木透、高石ともやとのコンサートの話題。このあたりのことは私はまったく知らないのでパス。続いて、むのたけじの話題。百歳になる老ジャーナリストと共演したときのエピソードを紹介していた。反骨のジャーナリストへのリスペクトである。

最後は、スクリーンのない映画館。スクリーンのない映画館は、かつてマルセ太郎が演っていた一人芝居である。映画の名作を再現する。

松元ヒロはマルセ太郎(2001年没)の「泥の川」を観て、ピン芸人になることを決意したそうだ。

むかし、マルセ太郎の自宅(和泉多摩川)にお邪魔したことがある。そのとき、松元ヒロがいた。どんな芸人かも知らなかったが、マルセさんの弟子ですと名乗っていた。当時はまだ無名。その後、永六輔や立川談志に認められ、紀伊国屋ホールなどでも定期的にライブをやるようになり、この世界ではメジャーになった。

マルセ太郎の後継者である。で、スクリーンのない映画館。今回の演目は「街の灯」。「街の灯」はご存じのようにチャップリンの代表作。盲目の花売り娘との純愛ものである。サイレントではないがサイレント的な色彩を残している。マルセ太郎ほどの出来ではなかったが、マルセ版とは違った味わいがあり、それはそれで評価できる。 

 これからもスクリーンのない映画館を引き継いでいくなら、マルセ太郎ファンとしてはうれしい。

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