濡れ手で粟
泡と粟は同音だが、イントネーションは異なる。泡はワにアクセントがあり、粟はアにある。
「濡れ手でアワ」は、もちろん粟であって、泡ではない。ところが、泡と粟を正しく発音できる人であっても、濡れ手でアワを、泡のアクセントで発音する人が多い。そのほうが言いやすいからかもしれない。したがって、かどうかはわからないが、「濡れ手で泡」だと思い込んでいる人がいる。
濡れた手ならばやすやすとたくさんの粟を手にすることができる。粟は手にくっついてくる。泡では石鹸で手を洗っているようなイメージしか浮かんでこないから、意味がつかめないことになる。
歌舞伎のセリフに、濡れ手で粟が出てくるのをご存じだろうか。有名なセリフである。「三人吉三」のお嬢吉三が朗々と言い立てる。
「竿の滴か 濡れ手で粟 思いがけなく 手にいる百両」。
この下りをCDで聞いてみた。言うまでもないが、正しくアにアクセントをおいている。
ついでのひとこと
水車は、スにアクセントをつけるか、平板に発音するかのいずれかである。関東ではスにアクセントをつける場合が多い。これが水車小屋になると平板になる。必ずそうなる。スにアクセントを置いて、水車小屋と発音してみてほしい。きわめて不自然な言い回しになる。
粟が、濡れ手でアワになると、アクセントが泡のようになってしまうと書いたが、それと似ている。
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