無料ブログはココログ

« 敗者を畏れよ  | トップページ | ナポレオン・ソロが帰ってきた。「コードネームU.N.C.L.E」 »

2015年11月18日 (水)

 談笑の才覚 「談笑十八番 その4」

  

 昨夜は「立川談笑独演会」(北沢タウンホール)に行ってきた。サブタイトルは「あなたが選ぶ談笑十八番」。談笑の持ちネタの中から聴きたい演目を当日の投票で選ぶという、談笑にとってはスリリングな企画である。

今回で4回目。1回目が「シャブ浜」、2回目が「ジーンズ屋ようこたん」。そして3回目は、別件ありで聴くことができなかったのだが、「死神」だったそうだ。今回はなにが選ばれるのか、わたしは「百年目」に一票を投じた。

 開口一番は談笑の二番目の弟子、立川笑二だった。演目は「親子酒」。笑二らしく工夫を凝らし、おもしろい噺にしていた。上手い。若手二つ目の中ではトップレベルと言ってよい。伸び盛りである。

 談笑のトリ前の演目は次のとおり。

  「イラサリマケー

  「粗忽長屋

 談笑のこの二席は手慣れたものである。「イラサリマケー」(居酒屋のビルマ人の従業員の日本語表現)は、談笑の才能を感じさせる演目である。いつ聴いても可笑しい。

 談笑版「粗忽長屋」は粗忽者ばかり登場する。この噺にはおなじみの「抱かれているのは確かに俺だが、抱いてる俺はいったい誰だろう」というオチがあるが、談笑版はそれで終わらない。二段オチとなっている。今回は、死体は黒人だったとしていた。

 

 さてさて、中入り後の、つまりリクエストで一番だったネタは、妥当というか「芝浜」だった。ま、順当。意外性はない。

 談笑の「芝浜」はありふれた古典噺の物語とはしていない。他の演目同様ひと工夫もふた工夫もしている。「芝浜」の矛盾点、腑に落ちない部分を談笑なりに咀嚼し、納得のいく噺に再構築している。

 たとえば、「(財布を拾ったことが)夢じゃないぐらいのわかっていた。ときどき酒は飲んでいた」と勝五郎に言わせている。かみさんも、よりしっかりした女性としている。談志は可愛らしい女として描いていた。

 なぜ三年ぐらいで店が持てるまでに稼ぐことができたかも、納得がいくような説明を加え、演じている。丁寧でもある。

 談志がオーソドックスな人情噺に仕立てているところに特徴があるのに対し、談笑バージョンは、したたかな夫婦という設定にしている。非現実なおとぎ噺にはしない工夫である。 

 談志のうまさを引き継いだのが談春なら、談志の理性(理屈っぽさ)を引き継いでいるのが談笑である。

 談笑にかかると、まいどおなじみの古典噺も、一味ちがう噺になる。才能を感じさせる。

« 敗者を畏れよ  | トップページ | ナポレオン・ソロが帰ってきた。「コードネームU.N.C.L.E」 »

落語」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です:  談笑の才覚 「談笑十八番 その4」:

« 敗者を畏れよ  | トップページ | ナポレオン・ソロが帰ってきた。「コードネームU.N.C.L.E」 »