「折々のことば」 二十歳の頃
きょうは成人の日。けさの「折々のことば」(朝日新聞一面連載)は二十歳にちなんだことばだった。
「ぼくは二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」(ポール・ニザン)
二十歳の頃、このことばにいかれてしまった。はまった。いまだにフランス語ですらすらと言える。ちょっと恥ずかしい。
鷲田清一はこう解説している。
「魂の内蔵から噴き上げる激しい渇望。膨らむ憧れとひどい幻滅。社会の中で方位を定められずにいる漂流感。いったい何をやっているのかといった無力感。青春時代ひとはあがきと焦りに溺れそうになる。」
鷲田さんが言うほどの深刻さはなかった。思いどおりにはいかないもどかしさはあったが、それを上回る自由があった。
後年、昔の私のイメージを後輩はこう語ってくれた。「右手に『朝日ジャーナル』、左手に『平凡パンチ』。そんな感じでした」
ふーん、よくいえば硬軟バランスがとれていたということか。自己評価すれば、『朝日ジャーナル』ではなく『アサヒ芸能』のほうが似つかわしかったと思う。軟派全楽連。
成人式で、派手な衣装を着て、騒ぐ若者がいる。あの気持ち、すこしわかる。
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