「白鯨との闘い」 迫力ある捕鯨シーン
「白鯨との闘い」を観てきた。
作家メルヴィルが捕鯨船転覆事故の生き残りの水夫にその顛末を聞き出すという設定である。それをもとにメルヴィルはあの名作『白鯨』を書くことになるのだが、それは後の話。
水夫は事故についてなかなか語らない。言いたくないと拒絶するが、しだいに打ち解け、顛末を語り始める。
監督はロン・ハワード。F1レースを描いた前作の「ラッシュ/プライドと友情」は、好対照のライバルがしのぎを削るというおもしろい映画だった。
今回も船長と一等航海士がライバルとなる設定だが、それほど競いあうわけではない。
チェイス(クリフ・ヘムズワース。「ラッシュ」でも主演)は捕鯨船エセックス号の船長になるはずだったが、ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)が船長に抜擢されたため、一等航海士として船に乗り込む。二人は対立する。船長は、無理して暴風雨の中を漕ぎだして船を損傷させる。チェイスも巨大クジラを捕獲しようとして失敗する。
船は大破し沈没してしまう。乗組員はかろうじてボートで脱出する。飢えと渇き、90日も漂流して、ようやくのことで救出される。
暴風雨との遭遇、巨大クジラとの闘いなどCGを駆使した迫力ある映像がみどころ。巨大クジラの目つきもよい。
それと平行して、生き残った水夫がなぜ語るのを拒否したのか、その秘密が描かれる。
で、メルヴィルはその話に基づいて、後年『白鯨』(モビィ・ディック)を書くことになるのだが、かなり脚色しているのはいうまでもない。
私はこの小説を読んでいない。読み始めたが、途中でギブアップした。難しい。学術書のような内容だった。だけど登場人物の名は知っている。エイハブ船長、イシュメイル、スターバック・・・。あのコーヒーチェーンの名はここからとった。知ってた?
メルヴィルが水夫にインタビューしたのは1850年という設定。当時は鯨油は灯油の原料として使われていた。ちなみにペリーが捕鯨船の寄港地を求めて浦賀沖に来たのは1853年である。
その後、石油が発掘され、鯨油を求める捕鯨は衰退する。
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