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2016年2月10日 (水)

「立川こしら全力疾走」 ぎっくり腰で・・・

 

 立川こしら・春風亭一之輔の会に行ってきた。ひさしぶりの二人会である。

 正しくはこしらの会であり、一之輔はゲスト出演である。チラシに広瀬和生さんのコメントが載っている。一之輔は「王道の中の型破り」、こしらは「掟破りの異端児」とある。ま、そうであるが、もうすこしわかりやすく言うと、こしらは「立川流の異端爆笑王」である。

 開口一番は無く、いきなりこしらが登場した。歩き方が変。骨折でもしたのか、ようやくのことで高座に上がった。そのぎこちないしぐさにちょっと笑いが起きた。

 ぎっくり腰だそうだ。名古屋の地下鉄で突然、魔女にキックされた。四つん這いで歩くような状態だったとか。整形に通ったり鍼を打ったりしているがなかなか治らないとのことである。辛そう。これでは全力疾走どころではない。

 しかし口の方は絶好調。演目は「だくだく」だった。長屋に引っ越したが、家財道具はない。絵心のある大家さんにタンスなどそれらしい家具を描いてもらう。新居に引っ越したつもりである。そこに夜、泥棒が入るというお馴染みの古典噺である。

 こしららしく縦横無尽にギャグを織り込みながら演じた。話の筋はオーソドッスであった。うまくなっている。

 続いては春風亭一之輔。「笠碁」だった。巧みな話芸で、客席をうならせる。柳家小さん以下かずかずの噺家が演じているが、それよりはるかにダイナミック。若々しい。王道の中の型破りである。

 

 中入り後はこしらの新作。与太郎が登場する。「大工調べ」「道具屋」「かぼちゃ屋」「ろくろっ首」「孝行糖」などに登場する与太郎のセリフをならべる。この与太郎に恋をするおみっちゃんを登場させる。こまかなことは省く。おみっちゃんが主役になる。ひとことでいうと純愛ファンタジーに仕立てている。タイトルは「あたい」だそうだ。おもしろいがオチが唐突すぎる。練り込めばいい噺になるかもしれない。

 それにしてもこしら、いま談志が降りてきたなどとギャグを入れて爆笑を誘う。広瀬さんをまじえてのアフタートークも一人で会場を沸かせた。

 こしらは走れないような痛々しい状態だったが、口だけは全力疾走だった。

 

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